将来像神戸空港国際化

陸上ルート解禁なるか!?関西空港・神戸空港の飛行経路見直し議論始まる

関西3空港の主な飛行経路

今月4日、国土交通省で「関西空域における飛行経路技術検討委員会」が開催され、関西空港・神戸空港における飛行経路の見直し検討が始まった。今後、同委員会において複数回の議論を重ね、関西エリアにおける飛行経路の再編が行われる。

以下では関西空港と神戸空港の飛行経路について取り上げるが、実際は伊丹空港の飛行経路も複雑に絡み合っている。そのため、今回の飛行経路の見直しは関西空港・神戸空港に留まらず、伊丹空港についてもあわせて再編される可能性がある。

関西3空港懇談会での新たな合意

9月に開催された第12回関西3空港懇談会では「関西空港の発着容量引き上げ」「神戸空港の国際化・発着枠の拡大」が合意された。これらの合意を実現するためには、飛行経路の見直しが避けては通れず、同懇談会を主催する関西経済連合会が飛行経路の見直しを国交省に対して要望。この要望を受けた形で飛行経路の見直し議論がスタートすることとなった。

どこを飛んでいる?関西3空港の飛行経路を解説!でも紹介しているように、関西空港と神戸空港の発着便は一定高度以下で陸上を飛行することが出来ない。そのため、両空港における飛行経路の大部分は海上に設定されており、航空管制上の効率は良いとは言えないのが現状なのだ。

第12回関西3空港懇談会での主な合意内容

①基本的考え方
・2030年前後を目途に、3空港全体で年間50万回の容量確保を目指す

②関西空港の容量拡張
・2030年代前半を目途に年間発着回数30万回の実現を目指す
・2025年万博までに1時間あたりの処理能力を概ね60回に引き上げることを目指す(現状は46回/時)

③神戸空港のあり方
・国内線については1日の最大発着回数を現在の80回から120回に拡大する
・国際定期便については2030年前後に就航可能とし、1日の最大発着回数は40回とする
・国際チャーター便については2025年万博開催時から運用を可能とする
・運用時間の延長については引き続き続き検討する

オープンパラレルを持て余す関西空港

関西空港はオープンパラレル配置の滑走路を備え、本来であれば非常に大きな処理能力を有する。しかし、関西空港では海上に限定した飛行経路が支障となり、実は持ち前の施設に見合った発着容量を確保出来ていない。言わば”宝の持ち腐れ”となっているのである。

オープンパラレル滑走路を生かし、発着容量を最大化するためには同時出発・同時平行進入の実施が不可欠である。だが、同時出発・同時平行進入の運用には「各出発経路は離陸直後から15度以上分岐した異なる経路であること」「各進入復行経路が30度以上分岐していること」など様々な要件が定められており、海上という狭いエリアに飛行経路を限定している現状では、運用・経路設計の要件を満たすことは非常に困難なのだ。

この課題を解決するには、陸上ルートの新設・陸域での高度制限の緩和等が必要である。既に一部経路では陸域における高度制限を設けることで陸上飛行が認められており、これの延長・拡大という形で飛行経路の見直しが進むと考えられる。

また、大阪湾を一周するように設定された到着経路(RWY24L/R使用時)については、飛行時間の大幅短縮や神戸空港発着便との輻輳回避という観点からも大幅な見直しが予想される。

既に陸域に設定されている飛行経路と高度制限
淡路島上空を経由する到着経路に設定された高度制限
岸和田市付近を通過する出発経路に設定された高度制限
淡路島上空を通過する出発経路に設定された高度制限
大阪南港付近を通過する出発経路に設定された高度制限

明石海峡上空に縛られた神戸空港

神戸空港の出発・到着経路は上の図の通りである。出発便と到着便は共に明石海峡上空を飛行する経路となっているため、出発便と到着便が輻輳すると、どちらか一方に待機が必要となることがあるのだ。

例えば、先に出発便が離陸し、次に到着便が空港へ進入するような場合、出発便の高度が到着便の高度(進入開始高度である3,000ft)を上回るまで、到着便は播磨灘上空での待機が必要となる。

このような上空待機は、直線進入に比べて大きい管制間隔を必要とする周回進入を実施している際にも発生することが多く、課題解消のためには空港東側で高度獲得が可能となる飛行経路の設定、もしくは出発・到着を分離する飛行経路の設定が必要と考えられる。

また、先ほど触れたように関西空港でRWY24L/Rの滑走路を使用している際には、同空港への到着機が神戸空港沖を通過するため、平面上は神戸空港発着便と関西空港到着便の輻輳が発生している。今後の交通量増加を見据えると現状の飛行経路は大きな見直しが必要なのだ。

陸上ルート解禁なるか!?

羽田空港で導入された陸上ルート。同経路を利用するRNPアプローチの進入角は3.45度と異例の設定となっている。
(出典:国土交通省資料)

関西経済連合会が国交省へ要望した「飛行経路見直しの要望」には、ある念押しが付け加えられている。それは「必要最小限の範囲で」という一文である。

これは、飛行経路見直しによって新たな騒音問題が発生しないようにという配慮から付け加えられたものであるが、この「必要最小限の範囲で」がどの程度となるのか現時点では未知数である。特に、関西空港の発着容量引き上げを実現するためには、陸上飛行経路の新設もしくは陸域における高度制限の見直しが必要となる可能性が高い。そうなると、飛行経路直下の自治体との合意が必要となるのは言うまでもない。

陸上ルートの新設として記憶に新しいのは羽田空港であろう。羽田空港では、一部時間帯で東京都心上空を飛行する陸上ルートが設定され、1時間あたりの発着能力が最大90回まで引き上げられた。また、関西空港と同様の海上空港である中部空港でも、夜間早朝を除いて陸上を飛行する経路が運用されており、陸上ルートの運用は全国的にも珍しいことではない。

今回の飛行経路の見直しは、空港周辺自治体の”覚悟”も試されていると言えるだろう。

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