※2020年8月4日現在、スカイマークの神戸ー下地島線の就航について、公式のプレスリリースは発表されていません。
※2020年8月19日、スカイマークは神戸・羽田・那覇ー下地島線の開設を発表した。
2020年10月25日~2021年3月27日期間の運航について(SKYプレスリリース)
スカイマークの佐山会長はTwitterにて、神戸ー下地島(宮古島)線の就航について言及した。同路線の就航は以前から取り沙汰されていたが、同社のトップが具体的に言及するのは初めて。 同社は2020年の冬ダイヤ(10/25~)から羽田ー下地島線の就航を予定しており、神戸ー下地島線に関しても同タイミングでの就航が予想される。

【追記】神戸・羽田・那覇ー下地島線就航!
8月19日、スカイマークは下地島線への参入を正式に発表した。予定されていた神戸ー下地島線(1日1往復)、羽田ー下地島線(1日1往復)に加えて、那覇ー下地島線(1日2往復)も運航される。
神戸ー下地島線の運航ダイヤは以下の通り。
便名 | 神戸発 | 下地島着 | 便名 | 下地島発 | 神戸着 |
---|---|---|---|---|---|
163 | 10:40 | 13:20 | 164 | 14:10 | 16:15 |
神戸ー下地島線の運賃は5,200円~と手頃な設定となっており、幅広い層での顧客獲得が期待される。
きっかけは羽田発着枠政策コンテスト
今回、スカイマークが下地島空港から開設を予定している神戸線と羽田線であるが、両空港とも発着枠が存在し、就航は容易ではないことはご存じの方も多いであろう。特にドル箱といわれる羽田発着枠に関しては各社獲得にしのぎを削っており、定期的に配分が見直されている。ちなみに、スカイマークには2020年夏ダイヤから37枠が割り当てられており、新千歳・神戸・福岡・鹿児島・那覇線でその枠を使い切っている。今回、スカイマークはこの発着枠とは別に「政策コンテスト枠」のトライアル運航の権利を手にし、下地島線の開設にこぎつけたのだ。
また、神戸空港に関しては、航空各社の発表ダイヤで発着枠上限に達しているため、下地島線開設に際して他路線の減便が想定される。
羽田空港 政策コンテスト枠とは?
航空会社ごとに割り当てられている発着枠とは別に、地方路線の活性化を目的として、特例的に割り当てるものが「政策コンテスト枠」である。航空会社と自治体が羽田線開設の共同提案を行い、その提案内容が特に優れたものに対して付与される。
5枠分が用意されており、羽田ー鳥取線・石見線・山形線・大館能代線が既に選定済み。羽田ー三沢線(JAL)・下地島線(SKY)の2路線のうち1路線がトライアル運航の実績を見て選定される予定だ。
政策コンテスト枠の各路線の提案内容については、国交省が公表している下記資料を参照されたい。
https://www.mlit.go.jp/common/001343909.pdf
(国交省:羽田発着枠政策コンテストの評価結果について 別添)
下地島空港にとっては悲願の羽田線誕生
現在、大手2社(JAL・ANA)は宮古空港に経営資源を集中させており、下地島空港の就航路線はジェットスタージャパンの成田線・関西線と香港エクスプレスの香港線(新型コロナウイルスの影響で運休中)の計3路線に留まっている。そのため、スカイマークの羽田線が就航すれば、下地島空港にとっては悲願の羽田線誕生となる。
大手2社が就航している羽田ー宮古線は両社1日1往復であるものの、繁忙期の普通運賃設定が6万円以上となるなど、運賃の高止まりが著しい寡占市場となっている。そのため、宮古空港と下地島空港という差があれど、この路線にスカイマークが参入することのインパクトは相当大きいと言えるだろう。また、ANAは関西線にも就航しており、同社の関西線においても運賃競争が働く可能性がある。
一方、ジェットスタージャパンの成田ー下地島線は、成田発着というハンディキャップを抱えながらスカイマークの羽田ー下地島線と戦うことになる。ライバルもJAL・ANAからスカイマークに変わり、今まで以上に運賃面での魅力が求められることになりそうだ。また、同社の関西線についても、神戸との立地の差が利用客の動向にどこまで影響を与えるかが注目される。
下地島空港で唯一国内線を運航していたジェットスターは、新型コロナウイルスの影響による航空需要低迷を受け、成田ー下地島線と関西ー下地島線を年始年末(2020/12/25~2021/1/3)を除いて運休させることを発表した。そのため、2020年冬ダイヤ期間はスカイマーク1社による独走となる見込みである。

大手2社に加えて新型コロナとの戦い
実はスカイマークは2011年9月に宮古-那覇線に参入しており、大手2社の相次ぐ運賃値下げで搭乗率が低迷、2015年3月に完全撤退している。今回の下地島線参入は、全く同じ土俵というわけではないが、再び大手2社の寡占路線に挑むことになり、因縁の対決とも言えるだろう。
加えて、2020年は新型コロナウイルスが世界中で蔓延し、国内線需要も激減している。航空需要が冷え込んでいるこの時期は、新規就航としては最悪のタイミングであり、状況によっては同社が下地島線の就航を遅らせるといったことも考えられる。また、無事に就航を迎えたとしても、国内線の航空需要が回復していない事には採算ラインとなる搭乗率も見込めないであろう。そういった意味では、下地島線就航にあたっての真の敵は新型コロナウイルスなのかもしれない。
2020年は新型コロナウイルスの影響が航空各社の業績に大きな影響を与えている。新型コロナウイルスがいつ収束するか見通せない中、無事に船出を迎え、路線を軌道に乗せられるか、スカイマークの下地島線の動向は今後も目が離せない。