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パイロットの知恵袋

【徹底比較!】LCCは本当に安い?損をしない航空会社の選び方

帰省・旅行・ビジネスなど長距離の移動に欠かせない飛行機。その飛行機を飛ばしている航空会社を皆さんはどのような基準で選んでいるでしょうか?

運賃・サービス・シートの広さ・定時性・マイレージサービスの有無など航空会社を選ぶ基準は沢山ありますが、「運賃」については多くの方がシビアに見ていることと思います。

ここでは「運賃」に重点を置いて航空会社を比較!コストパフォーマンスに優れた航空会社の選び方をご紹介します!

3つに分かれる航空会社の分類

航空会社は大きく分けて3つの分類が存在するという事をご存じでしょうか?

1つ目はJALやANAなど全国各地に多くの路線を持つ「大手航空会社」、2つ目は低価格の運賃をウリにする「格安航空会社」、そして3つ目は大手航空会社と格安航空会社の中間的ポジションに位置する「中堅航空会社」です。

日本の国内線を運航している主な航空会社とその分類は以下の通りです。

大手航空会社(FSC)

JALグループ
(J-AIR・JTA・JAC・RAC・HAC 含む)

ANAグループ
(ANAwings 含む)

日本航空(JAL)
全日本空輸(ANA)
中堅航空会社(MCC)

スカイマーク(SKY)
エア・ドゥ(ADO)
ソラシドエア(SNJ)
スターフライヤー(SFJ)

 地方間路線を中心に運航 
フジドリームエアラインズ(FDA)
アイベックスエアラインズ(IBX)
オリエンタルエアブリッジ(ORC)
天草エアライン(AMX)

スカイマーク
格安航空会社(LCC)

ピーチアビエーション(APJ)
ジェットスタージャパン(JJP)
スプリングジャパン(SJO)

トキエア(TOK)

ピーチアビエーション
ジェットスタージャパン

「中堅航空会社」に位置付けられる航空会社が意外と多いという事がお分かり頂けたのではないでしょうか?近年存在感を増している「格安航空会社」に至っては、日本の国内線では4社しかありません。

航空会社を選ぶ際には、これらのカテゴリーの特性を理解した上で、上手く使い分けるのがコツです!

以下、大まかにそれぞれのカテゴリーの特徴を見ていきましょう。

FSC(Full Service Carrier)

JALグループ・ANAグループが該当するFSC。

“Full Service”という名前の通り、サービス面での充実度が特徴です。無料のドリンクサービスや毛布の貸し出し、機内オーディオなど機内サービスが充実している他、マイレージ制度が存在しており、マイルを貯めることで上級会員の特典が享受できます。

また、路線数もMCCやLCCと比べて圧倒的に多く、日本全国・世界各地に路線を有しています。伊丹・羽田などの都心部に近接した空港をハブ空港としているのも特徴です。

唯一のネックは運賃です。手厚いサービスが受けられる反面、普通運賃は比較的高額となっています。しかし、後ほど紹介する早割運賃・株主優待運賃を利用すれば、お得に利用出来るケースもあります。

FSCが利用できる路線一覧

※2021年11月時点の運航路線
日本航空(JAL)路線一覧
羽田ー伊丹
/関西
/新千歳
/中部
/福岡
/那覇
/女満別
/旭川
/釧路
/帯広
/函館
/青森
/三沢
/秋田
/山形
/小松
/南紀白浜
/岡山
/出雲
/広島
/山口宇部
/徳島
/高松
/高知
/松山
/北九州
/大分
/長崎
/熊本
/宮崎
/鹿児島
/奄美大島
/宮古
/石垣
成田ー伊丹
/中部

関西ー新千歳
/那覇
/石垣

伊丹ー新千歳
/福岡
/那覇
/函館
/青森
/三沢
/秋田
/花巻
/山形
/仙台
/新潟
/但馬
/出雲
/隠岐
/松山
/大分
/長崎
/熊本
/宮崎
/鹿児島
/屋久島
/奄美大島
新千歳ー女満別
/青森
/秋田
/花巻
/仙台
/新潟
/広島

丘珠ー利尻
/女満別
/釧路
/函館
/奥尻
/三沢

函館ー奥尻

福岡ー新千歳
/那覇
/花巻
/仙台
/出雲
/徳島
/高知
/松山
/宮崎
/鹿児島
/屋久島
/奄美大島

中部ー新千歳
/那覇
那覇ー小松
/岡山
/宮古
/石垣
/北大東
/南大東
/与論
/久米島
/奄美大島
/与那国
/沖永良部

出雲ー隠岐

鹿児島ー松山
/種子島
/屋久島
/喜界島
/奄美大島
/徳之島
/沖永良部
/与論

奄美大島ー喜界島
/徳之島
/与論

沖永良部ー徳之島

宮古ー石垣
/多良間

石垣ー与那国

北大東ー南大東

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全日本空輸(ANA)路線一覧
羽田ー新千歳
/伊丹
/関西
/福岡
/那覇
/稚内
/釧路
/函館
/紋別
/中標津
/大館能代
/秋田
/庄内
/八丈島
/富山
/能登
/小松
/中部
/神戸
/鳥取
/米子
/石見
/岡山
/広島
/岩国
/山口宇部
/徳島
/高松
/松山
/高知
/長崎
/佐賀
/熊本
/大分
/宮崎
/鹿児島
/宮古
/石垣
成田ー那覇

関西ー新千歳
/那覇
/宮古
/石垣

伊丹ー新千歳
/福岡
/那覇
/函館
/青森
/仙台
/秋田
/福島
/新潟
/松山
/高知
/長崎
/熊本
/大分
/宮崎
/鹿児島

中部ー新千歳
/仙台
/秋田
/新潟
/松山
/福岡
/長崎
/熊本
/宮崎
/鹿児島
/那覇
/宮古
/石垣

福岡ー新千歳
/那覇
/小松
/福江
/対馬

新千歳ー那覇/
稚内
/釧路
/中標津
/女満別
/函館
/青森
/秋田
/仙台
/富山
/新潟
/小松
/福島
/神戸

那覇ー仙台
/広島
/高松
/熊本
/松山
/宮古
/石垣

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MCC(Middle Cost Carrier)

近年勢力を伸ばしているLCCの影に隠れがちなMCC。

FSCとLCCのちょうど間のポジションを取っているのが特徴で、サービス面ではFSCに負けず劣らず、運賃面ではFSCとLCCの間を取っていることが殆どです。羽田空港発着の幹線を運航している会社もあれば、地方間を結んでいる地域特化型の会社もあります。

また、JALやANAとコードシェア(共同運航)を行っていることが多いのも特徴です。

MCCが利用できる路線一覧

※2021年ウィンターダイヤの運航路線
スカイマーク(SKY)路線一覧
羽田ー新千歳
/神戸
/福岡
/長崎
/鹿児島
/那覇
/下地島

新千歳ー茨城
/中部
/福岡
神戸ー新千歳
/仙台
/茨城
/長崎
/鹿児島
/那覇
/下地島

中部ー鹿児島
/那覇
福岡ー新千歳
/茨城
/那覇

那覇ー茨城
/下地島

鹿児島ー奄美大島

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ソラシドエア(SNJ)路線一覧
羽田ー宮崎/熊本/長崎/鹿児島/大分/那覇

那覇ー宮崎/鹿児島/神戸/福岡/中部/石垣

中部ー宮崎/鹿児島

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エア・ドゥ(ADO)路線一覧
羽田ー新千歳/旭川/女満別/函館/帯広/釧路

新千歳ー仙台/中部/神戸

函館ー中部

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スターフライヤー(SFJ)路線一覧
羽田ー関西/山口宇部/福岡/北九州

中部ー福岡

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フジドリームエアラインズ(FDA)路線一覧
小牧ー青森
/花巻
/山形
/新潟
/出雲
/高知
/福岡
/熊本
静岡ー新千歳
/出雲
/福岡
/熊本
/鹿児島

神戸ー青森
/花巻
/松本
/高知
松本ー新千歳
/福岡

福岡ー新潟

新千歳ー山形

仙台ー出雲

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アイベックスエアラインズ(IBX)路線一覧
仙台ー新千歳
/中部
/伊丹
/広島
/福岡
/松山
伊丹ー福島
/新潟
/福岡
/大分
/鹿児島
中部ー松山
/福岡
/大分
/鹿児島

福岡ー新潟

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オリエンタルエアブリッジ(ORC)路線一覧
長崎ー壱岐/五島福江/対馬

福岡ー五島福江/対馬/宮崎/小松

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天草エアライン(AMX)路線一覧
天草ー熊本/福岡

熊本ー伊丹

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LCC(Low Cost Carrier)

日本でもようやく定着し始めたLCC。

“Low Cost”という名前の通り、コストを抑えて格安運賃を売りにしているのが特徴です。小型ジェット機に多くの座席を配置し、1日に多くの便を運航することで運航コストを低減。発着空港も成田・関西などの都市部から離れた空港を利用することで空港使用料を抑え、格安運賃を実現しています。

FSCとMCCと大きく異なるのが運賃体系。LCCの運賃には、空港使用料・座席指定料金・受託手荷物料金・支払手数料などが含まれておらず、予約の際に別途支払いが必要となります。

また、FSC・MCCに比べて運賃帯に大きな幅があり、繁忙期や直前の予約では、FSCよりも運賃が高くなるというケースもあります。航空券の変更・取消・払戻にも制約があり、欠航・遅延の際にもサポートが無いことが多いため、利用のリスクについては事前の理解が必要です。

LCCが利用できる路線一覧

※2021年ウィンターダイヤの運航路線
※トキエアは2024年2月時点の運航路線
ピーチアビエーション(APJ)路線一覧
関西ー新千歳
/女満別
/釧路
/仙台
/新潟
/成田
/福岡
/長崎
/宮崎
/鹿児島
/奄美大島
/那覇
/石垣
成田ー釧路
/女満別
/福岡
/長崎
/宮崎
/大分
/奄美大島
/那覇
/石垣

新千歳ー仙台
/福岡
/那覇

福岡ー那覇
/石垣

那覇ー仙台

中部ー新千歳
/仙台
/那覇
/石垣

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ジェットスタージャパン(JJP)路線一覧
成田ー関西
/新千歳
/福岡
/那覇
/大分
/鹿児島
/熊本
/宮崎
/長崎
/下地島
/松山
/高松
/高知
関西ー新千歳
/那覇

中部ー福岡
/那覇

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スプリングジャパン(SJO)路線一覧
成田ー新千歳/広島/佐賀

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トキエア(TOK)路線一覧
新潟ー丘珠

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LCCとFSC・MCCとの相違・注意点

LCCがなぜ格安運賃を実現できるのか。そこには以下のような理由があります。

LCCが格安運賃を実現できる理由

・機内の座席数を増やしている(シートの前後間隔が狭い)
・機材の稼働を高めている(機材の折り返し時間が短い)
・予備機材が少ない(機材故障に備えた余剰機材が少ない)
・空港使用料を抑えている(都心部から離れた空港やLCCターミナルを利用)
・付帯収入を増やしている(航空券保険・レンタカー予約等による手数料収入)

タラップでの搭乗が多いのもLCCの特徴

ちなみに、「飛行機が古いから運賃が安い」といった誤解がされることもありますが、これは全く逆です。

海外には中古機を安く仕入れることで格安運賃を実現しているLCCもありますが、基本的に飛行機は古くなればなるほど整備に掛かるコストが増加します。そのため、日本のLCCは基本的に新造機を導入し、整備コストを減らして格安運賃を実現しているのです。

ここからはその格安運賃の裏に隠れたLCCの注意点等を取り上げます。

ダイナミックプライシングによる運賃変動

「ダイナミックプライシング」という用語をご存知でしょうか?「ダイナミックプライシング」とは、需要と供給の状況に合わせて運賃を変動させる「変動料金制」の価格戦略を意味します。既に多くの航空会社・宿泊施設・テーマパークなどで導入されており、昨今では企業の売上を引き上げるための大きな戦略の一つです。

中でも、LCCはダイナミックプライシングによる運賃変動が顕著となっています。後述しますが、LCCは運賃設定に大きな幅があり、各社の運賃が高騰している際にはFSCと遜色ない運賃となっている事も実は珍しくありません。そのため、予約する日によって運賃が安かったり、反対に非常に高額となっていたりというのは日常茶飯事なのです。

ダイナミックプライシングのアルゴリズム(運賃変動の傾向)はブラックボックスとなっており、またそのアルゴリズムは頻繁に見直されているため、あくまで推測に過ぎませんが、LCCの運賃には以下のような傾向があります。

LCCの運賃傾向

・FSCが早割運賃を設定しているような随分先の出発日は安いことが多い(FSC・MCCが早割運賃を設定していることが多く、価格競争が激しいため)
・出発日が近づくにつれて徐々に運賃が上がるが、その後運賃が下がることもある(空席を埋めるためにセールを実施することもある)
・直前(当日を含む)の出発日は比較的高額なことが多い(利用者の選択肢が少なく、運賃を下げなくとも急な移動需要を取り込めるため)

FSC・MCCと異なるLCCの運賃体系

LCCはFSC・MCCと違い、受託手荷物や座席指定が有料であるなど、運賃の仕組みが異なります。そのため、各社の運賃を比較する前に、まずLCCの運賃体系を理解しておかなければなりません。

FSC・MCCとLCCの運賃体系を比較すると、以下のようになります。

FSC・MCCの運賃は以下の合計!
★運賃(以下を全て含む)

・普通席の座席指定無料
・受託手荷物20kgまで無料
・旅客施設使用料を含んだ運賃表示
・支払手数料無料

その他オプション料金

受託手荷物の追加、上級クラスの予約などに必要

★は必ず支払いが必要となる料金

LCCの運賃は以下の合計!
★運賃

ベースとなる基本料金

座席指定料金

座席を指定する場合に必要

受託手荷物料金

手荷物を預ける場合に必要

★旅客施設使用料

ターミナルビル使用料。空港毎に異なる

★支払手数料

支払方法によって異なる。

その他オプション料金

変更・払戻可能オプションなどに必要

★は必ず支払いが必要となる料金

例えば、LCCが『最安2,980円~』などと謳っているのは、『運賃(ベースとなる基本料金)』の最低価格です。実際は、旅客施設使用料と支払手数料の支払いが必要となるため、『2,980円』で購入することは出来ません。手数料等の多い運賃体系がLCCの落とし穴とも言えるのです。

ちなみに、運賃とは別に必ず支払いが必要となる「支払手数料」と「旅客施設使用料(成田・関空)」は、以下のようになっています。(2021年4月1日現在)

セールの広告。手数料等を含めると2,190円で購入することは出来ない。(出典:ピーチ公式サイト)
LCC各社の支払手数料
クレジットカード・モバイル決済600円
コンビニ・ATM670円
ピーチポイント210円
ピーチアビエーション 支払手数料
クレジットカード620円
コンビニ・ATM・キャリア決済670円
バウチャー0円
ジェットスタージャパン 支払手数料
クレジットカード600円
スプリング・ジャパン 支払手数料
関西空港・成田空港の旅客施設使用料
第1・第2ターミナル出発・到着大人450円
小人220円
第3ターミナル出発・到着大人390円
小人190円
成田空港 国内線旅客施設使用料
第1ターミナル出発・到着大人440円
小人220円
第2ターミナル出発大人・小人420円
到着大人・小人370円
関西空港 国内線旅客施設使用料

座席指定料金などのオプション料金

ジェットスタージャパンの座席区分(出典:ジェットスター公式サイト)

FSC・MCCにおいては座席指定(普通席)が無料である上、受託手荷物も通常20キロまで無料で預けることができます。しかし、LCCはいずれも運賃には含まれておらず、基本的に有料の追加オプションとなっています。

受託手荷物料金は路線や重量で異なりますが、FSC・MCCでは無料となる20キロの受託手荷物で1,500円~2,500円程度の追加料金が掛かるほか、座席指定料金については前方席・窓側席・非常口座席(足元が広い)などで料金が異なり、500円~1,500円程度の追加料金が掛かります。

また、機内持ち込み手荷物については、FSCやMCCが10キロまで許容されている一方、LCCは7キロまでに制限されています。LCC各社は、この手荷物重量の制限を厳格に運用しているため、手荷物重量が超過した場合には、追加料金を支払って受託手荷物として預けることになります。 (ジェットスターは追加料金を支払うことで機内に持ち込むことも可能です。)

当日のオプション追加・電話予約は手数料が高額!

スプリングジャパンの各種手数料(出典:スプリングジャパン公式サイト)

LCCでは、空港カウンターやコールセンターでの新規予約、予約後の予約変更(受託手荷物追加・座席指定など)は通常よりも高額な手数料が掛かります。

そのため、受託手荷物や座席指定の要否については事前に良く検討し、インターネットからの予約の際に事前追加して予約するようにしましょう。

搭乗当日に座席指定や受託手荷物を追加することのないよう、事前のネット予約の段階で必要なオプションを付けておくのがLCCをお得に利用するコツです。

変更・取消・払戻の制約、大幅遅延・欠航時のリスク

予約変更が可能となるオプションをはじめ、LCCには各種オプションが用意されている(出典:ピーチ公式サイト)

LCCで予約出来る最安値の運賃は、基本的に変更・取消・払戻が出来ません。変更・取消・払戻が可能な運賃種別も用意されていますが、払戻はポイントでの返金となるなど一定の制約があることが殆どです。

また、前述のように、LCCは機材の稼働率を高めて格安運賃を実現しているため、機材故障による欠航や玉突き遅延が多いというリスクは常に付きまといます。さらに、大幅遅延・欠航が発生した場合も、他社便への振り替えや地上交通費・宿泊費などの補償が基本的に一切ありません。

早朝・深夜便は要注意!アクセス・交通費も考慮が必要

羽田・成田・茨城空港の位置関係
伊丹・関西・神戸空港の位置関係

LCCに限ったことではありませんが、朝早くに運航されている便や夜遅くに運航されている便は、運賃が安くなる傾向にあります。特に、LCCは1日あたりの運航便数を増やすことで格安運賃を実現している為、早朝・深夜便の設定が比較的多くなっています。

この早朝・深夜便の安さは勿論魅力的ではありますが、予約に際しては空港へのアクセスについて十分検討が必要です。

LCCがハブとしている成田空港や関西空港は、都心部から比較的距離があり、早朝・深夜時間帯に公共交通機関でアクセスできる地域が限られています。そのため、早朝・深夜便の運航時間帯によっては、タクシーの利用や空港ホテルでの前・後泊が必要になるなど、かえって高くつくといった事も考えられるのです。

航空券を比較する際には、航空運賃だけでなく空港までの交通アクセスや地上交通費等についても併せて考慮に入れましょう。

【まとめ】FSC・MCC・LCCの比較

大手航空会社(FSC)中堅航空会社(MCC)格安航空会社(LCC)
運賃の手頃さ×
(普通運賃は高額。割引運賃や株主優待運賃は比較的安い。)

(普通運賃・割引運賃ともに比較的安い。予約時期によってはLCCよりも安い。) 

(運賃に大きな幅があるが、最安値でオプションを省けばかなり安い。) 
発着空港・路線の利便性
(羽田・伊丹などの主要空港からの路線が中心。)

(羽田発着路線が多く、神戸・名古屋などからの地方路線も。)
×
(成田・関西など都心部から離れた空港からの路線が中心。LCCターミナルを利用することも。)
使用機材大型機材からプロペラ機材まで多種多様小型機材(A320・B737・リージョナルジェット等)が中心小型機材(A320・B737)が中心
普通席のシートピッチ(前後間隔)
79㎝
(比較的広い)

79㎝~86cm
(比較的広い)
×
71~74cm
(狭い。体格によっては前の席に膝が当たることも)
受託手荷物
(20kgまで無料)

(20kgまで無料)
×
(有料)
機内持ち込み手荷物
(10kgまで可)

(10kgまで可)
×
(7kgまで可)
機内サービス
(一部有料サービスも有り。機内販売なども充実。)

(一部有料サービスも有り。)
×
(基本的には機内サービス無し。機内食・ドリンクは有料。)
マイレージ制度
(会社によっては独自のマイレージ制度有り。)
×
定時性
(ダイヤに比較的余裕があるため、遅延が少ない)

(ダイヤに比較的余裕があるため、遅延が少ない)

(機材の折り返し時間が短い為、玉突き遅延が多い)
欠航・遅延時のリスク
(欠航・大幅遅延時には他社振替や宿泊費・交通費の補償有り。)

(欠航・大幅遅延時には他社振替や宿泊費・交通費の補償有り。)
×
(欠航・大幅遅延時の補償無し。)
変更・キャンセル・払戻
(手数料がかかるケースもあるが柔軟に対応。)

(手数料がかかるケースもあるが柔軟に対応。)
×
(基本的にキャンセル・変更・払戻は不可。オプションや運賃種別次第で可能。)
FSC・MCC・LCCの特徴まとめ

LCCは本当に安い?本当にお得な航空券の探し方!

LCC(格安航空会社)は名前の通り「格安」を売りにした航空会社です。度々開催されるセール販売では数百円からの激安航空券が発売されるなど、LCC=安いというイメージが浸透している事と思います。

しかし、ここまで紹介した通り、LCCの運賃の仕組みを理解せずに購入すると、MCCやFSCよりもかえって高くつくケースもあるのです。

見かけの最安値はLCCだが…

航空会社は航空券を販売するにあたり、事前に国土交通省に対して運賃の届出を行っています。ここでは、東京(羽田・成田)ー大阪(伊丹・関西・神戸)間の各社の届出運賃を実際に比較してみましょう。

東京ー大阪間を運航する航空会社は現在6社(FSC・MCC・LCCそれぞれ2社ずつ)存在し、それぞれ運賃は以下の通りです。

航空会社(分類)運賃額区間
JAL(FSC)7,100円(スーパー先得)~28,100円(ピーク時普通運賃)羽田ー伊丹・関西
ANA(FSC)4,800円(ANA SUPER VALUE)~31,000円(ピーク時普通運賃)羽田ー伊丹・関西・神戸
SKY(MCC)6,000円(いま得)16,500円(ピーク時普通運賃)羽田ー神戸
SFJ(MCC)7,000円(そら旅75)~26,000円(ピーク時普通運賃)羽田ー関西
APJ(LCC)3,590円(シンプルピーチ)~25,960円(プライムピーチ)成田ー関西
JJP(LCC)3,580円(Starter)~23,440円(StarterMax)成田ー関西
東京ー大阪間の届出運賃の比較
※上記運賃額は2021年夏ダイヤにおける大人運賃
※運賃額は旅客施設使用料を含まない
※LCCの運賃額は各種手数料を含まない
※随時販売されるセール運賃は含まない

一覧で比較すると、見かけ上の最安運賃はLCC各社が最も安く運賃の上限額はスカイマークが最も安いという結果になりました。(”見かけ上の”と表現したのは、LCCの運賃には支払手数料等が含まれておらず、単純比較が出来ないためです。)

では、手数料などを含めた支払総額を計算してみると、どの航空会社が一番安いのでしょうか?

最安値での支払総額の差はたった60円!

先程挙げた東京(羽田・成田)ー大阪(伊丹・関西・神戸)間を最安値で予約した場合、実はLCCもFSCも支払総額は殆ど変わりません。(購入条件:大阪→東京・受託手荷物無し・座席指定無し・クレジットカード決済)

以下、ANAとLCC各社の支払総額の計算結果です。

FSCの最安値運賃

全日本空輸(ANA)

運賃:4,800円
旅客施設使用料(神戸):無料
旅客施設使用料(羽田):290円
支払手数料:無料

支払総額 5,090

LCCの最安値運賃

ピーチアビエーション(APJ)

運賃:3,590円
旅客施設使用料(関西T2):420円
旅客施設使用料(成田T1):450円
支払手数料:600円

支払総額 5,060

LCCの最安値運賃

ジェットスタージャパン(JJP)

運賃:3,580円
旅客施設使用料(関西T1):440円
旅客施設使用料(成田T3):390円
支払手数料:620円

支払総額 5,030

最安値の支払総額で比較すると、FSC(ANA 神戸→羽田)とLCC(JJP 関西→成田)の差がたった60円ということに驚かれた方は多いのではないでしょうか?しかも、FSCは受託手荷物・座席指定も無料付帯した運賃です。

近年、LCC台頭による価格競争激化で、FSCはLCCに負けず劣らない早割運賃を用意しています。そのため、航空券探しをする際には「LCCは安い!」「FSCは高い!」という固定概念を取り払う必要があると言えるでしょう。

また、受託手荷物や座席指定が必要な場合、LCCでは上記の計算結果から更に数千円程度の追加料金が掛かります。加えて、成田空港や関西空港から都心までの交通費を考えると、LCCは常にお得とは言い切れないのです。

予約画面の表示運賃は3,580円だが、最終的な支払総額は5,030円(出典:ジェットスター公式サイト)

株主優待・パックツアーという選択肢も!

街中で見かける金券ショップには航空各社の株主優待券も並ぶ

FSCや一部MCCには株主優待券が用意されている会社もあります。

株主優待券を利用すると、各社普通運賃のおよそ半額で利用できることから、繁忙期など各社運賃が高騰している時期においてはFSCの株主優待運賃が一番お得になるというケースもあります。(ただし、株主優待運賃は販売数が限られている為、予約状況によっては株主優待運賃で購入できないこともあります。)

株主優待券は街中の金券ショップなどで2,000円~5,000円程度で販売されており、株主以外でも利用することが可能です。

また、航空券の他に宿泊施設も併せて予約するという場合には、航空券と宿泊施設がセットになったパックツアーがトータルで見るとお得になることもあります。宿泊施設に拘らないのであれば、パックツアーでの予約も比較対象に加えてみましょう。

現在、各航空会社に特化したパックツアーはジャルパック(JAL)スカイツアーズ(ANA)スカイパックツアーズ(SKY)などがあります。

【まとめ】LCCは常に安いとは限らない!

ここまで読んで、LCCが必ずしも安い訳ではないという事がお分かり頂けたのではないでしょうか?

航空券を探す際には、以下のポイントを押さえておきましょう!

・常に「LCCが安く、FSCが高い」訳ではない!

→ 一括比較サイト の活用を!

・空港の幅を広げてみる!

→ 東京なら羽田・成田
  大阪なら伊丹・神戸・関西を選択肢に!

・受託手荷物・座席指定なし

→ LCCが安いケースが多い!

・受託手荷物・座席指定あり

→ FSCMCCが安いケースが多い!

・直前の予約、各社運賃が高騰している

→ MCCが安いケースが多い!

・早割運賃・株主優待運賃の利用

→ FSCが安いケースもある!

また、航空各社の運賃を比較する際には、各社の公式サイトをそれぞれ見比べるという手もありますが、【ソラハピ】 【NAVITIME Travel】 などの航空券一括比較サイトの利用も便利です。

近年、航空各社の割引運賃は空席連動型となっているため、それぞれの便の空席割合によって運賃が変動しています。航空券の一括比較サイトでは、それらの運賃を同時に比較することが可能です。

また、東京・大阪のように複数の空港が利用可能な場合には、「東京(成田・羽田)」というような条件検索が利用可能なため、FSC・MCC・LCC全ての運賃を比較して航空券を購入することができます。(関西圏においては、「大阪(関西・大阪)」と「神戸」が別の検索条件となっている事があるため、その場合はそれぞれの条件で検索して比較してみましょう。)

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