2020年11月28日、第10回目となる関西3空港懇談会が大阪市内で開催された。
当初は2020年春頃の開催を予定していたが、新型コロナウイルスへの対応を優先し、開催が延期されていた。
再び議論が停滞する3空港懇
前回の3空港懇では、「神戸空港の運用規制の一部緩和」が合意され、「神戸空港の中長期的な国際化の検討」が今後の検討課題として盛り込まれていた。
そのため、今回の3空港懇では「関西空港の発着能力の増強」に加えて、「神戸空港の更なる規制緩和・国際化」を議論・合意する予定であった。しかし、結果的には「3空港の機能維持・強化の支援を国に要望する」という抽象的な合意に留まり、神戸空港の国際化については引き続き検討するとされた。
議論の行方に大きな影響を与えたのは、言うまでもなく「新型コロナウイルス」である。
漂う関空の先行き不透明感
インバウンド需要を中心に国際線旅客が大半を占めていた関西空港は、関西3空港の中でも新型コロナウイルスの影響が顕著に現れている。
今年10月の関西3空港の旅客数の減少幅(前年比)は、伊丹 43%減・神戸 49%減・関西 88%減(国内線に限ると51%減)と、国際線依存度の大きい関西空港の落ち込みが際立っているのだ。
そのため、今回の3空港懇では関西空港の地元自治体を中心に、関西空港以外での国際線取り扱いについて再び反発が懸念されるため、国際線の取り扱いについて積極的な議論はなされなかった。
また、現時点では関西エアポート自体に神戸空港の国際化へ注力する余力が残っていない可能性も高い。
遅れる関空リニューアル工事、見通せぬ国際線需要
関西空港の現状は、関西エアポートの経営にも大きな影を落としている。
関西エアポートは10月、2025年の完成を予定していた関西空港の大規模リニューアル工事が遅れる見込みだと発表した。
新型コロナウイルスの影響で、テナント等の誘致が進まず、リニューアル工事の具体的な設計が進まない為である。
今回、完成時期が延期となったのは、商業エリアだけであり、第一ターミナルビルの旅客処理能力の増強は、2025年に間に合う予定としている。しかし、今後の国際線需要次第では更なる完成延期も避けられない。
待った無しの将来像議論
前回の3空港懇で、神戸空港国際化の目安として示されたのは、大阪万博が開催される2025年である。そのため、予定通りに神戸空港の国際化を進めるのであれば、準備期間は既に5年を切っている。
この先の国際線需要が暫く見通せない以上、今回の3空港懇で国際線の取り扱いに関する議論が行われなかったということは止むを得ないと言える。
しかしながら、神戸空港の発着枠・運用時間の是非や伊丹空港の運用時間弾力化、関西空港の発着能力増強のための具体的な施策など、国際線以外の議論についても一切踏み込んでおらず、今回の3空港懇は物足りなさが残ると言わざるを得ない。
今後、新型コロナウイルスが収束したのち、関西3空港がどのように運用され、将来の航空需要をどのように捌いていくのか。具体的な議論は依然として進まぬまま、時間だけが過ぎようとしている。
次回の3空港懇では、更に踏み込んだ議論・合意がなされることを期待したい。