「大阪湾岸道路」という名称はあまり聞いたことが無いかもしれないが、「阪神高速湾岸線」と聞くと多くの人にとって馴染み深いだろう。大阪湾岸道路西伸部とは、阪神高速5号湾岸線の六甲アイランド北IC以西の延伸部を指す。中でも駒栄ランプ~六甲アイランド間は、渋滞が常態化している3号神戸線に並走する区間であり、開通による経済効果は極めて大きいとされている。この区間が2009年3月に都市計画決定され、2016年4月には事業化、2018年12月遂に着工を迎えたのだ。
大阪湾岸道路西伸部が開通すると、神戸空港―関西空港がダイレクトに繋がり、また大阪方面から神戸空港へのアクセスが飛躍的に良くなると期待されている。関西では2025年に大阪万博が控えており、六甲アイランドーポートアイランド間は特に早期の開通が望まれる。
大阪湾岸道路西伸部の概要
大阪湾岸道路西伸部は物流の大動脈である神戸港を横断する形で計画されているため、長らく具体的な議論が進んでこなかった。ようやく具体的な計画策定に向け議論が本格化したのは2008年。今後神戸港に入港する大型客船の支障とならないように、高架道路にするか海中トンネルにするかなど様々な検討が行われた結果、建設費を抑えることができる6車線の高架道路とすることが決定された。
また、神戸空港がルートのすぐ南にあるため、高架橋の主塔の高さが航空法で制限される可能性があった。そのため、大型客船が航行できる橋桁高を確保できるかが不安視されていたが、橋桁高は国内トップレベルである約66メートルに設定された。

路線名 | 一般国道2号大阪湾岸道路西伸部 |
事業区間 | 神戸市東灘区向洋町東~神戸市長田区西尻池町 |
延長 | 14.5km |
道路規格 | 第2種第1級(31号神戸山手線接続部は第2種第2級) |
設計速度 | 80km/h(31号神戸山手線接続部は60km/h) |
車線数 | 6車線(31号神戸山手線接続部は4車線) |
総工費 | 約5,000億円 |
工期 | 約10年 |

渋滞損失ワースト1位を返上へ
阪神高速道路3号神戸線は朝夕のラッシュ時間帯を中心に渋滞が常態化している。この渋滞による経済損失は、首都高速などをおさえて全国ワースト1位という不名誉な記録を維持し続けている。
大阪湾岸道路西伸部が開通すれば、この3号神戸線の渋滞を大幅に減らすことが出来ると期待されており、物流業界などからも期待の声は大きい。
神戸港・神戸空港へのアクセス向上や、災害時の代替迂回路としての機能はもちろんであるが、中でも3号神戸線の渋滞解消がもたらす関西地域への経済効果は計り知れないのである。
