神戸空港T2の空港施設利用料が判明!国際線利用者は1人約3,000円で調整

第2ターミナルビル内イメージ(出典:神戸新聞)

来年4月の開業を予定する神戸空港第2ターミナルビル。その第2ターミナルで導入される空港施設利用料(案)が神戸市会の委員会資料で明らかとなった。今後、神戸市会での審議などを経て、神戸市は空港条例への反映を予定する。

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国際線施設等は指定管理者制度で運用

現在、神戸空港はコンセッション(民営化)により関西エアポート神戸が管理・運営を行っている。しかし、このコンセッション契約は、国内線のみの運用を想定した対価設定となっているほか、現在整備が進められている第2ターミナルビルやエプロンの拡張部分がコンセッションによる契約の範囲外にあるため、新たに運営先を設定する必要が生じていた。

そしてこの度、神戸市は国際線施設等を関西エアポート神戸へ運営委託すると発表した。運営を委託する範囲は、第2ターミナルビル・拡張エプロン・車両通行帯・新設駐車場などで、主に国際線のハンドリングに係る部分を関西エアポート神戸が指定管理者という形で運営を担うこととなる。また、指定期間は2025年4月1日~2030年3月31日の5年間で、指定管理による債務負担額の限度額は77億7600万円を予定している。

今後、国際定期便の受け入れに向けたメインターミナルの整備も予定されており、その頃には今回指定管理者制度の対象となる施設も関西エアポート神戸によるコンセッション契約に組み入れられる見込みである。今後の国際線の運用状況などをもとに、適正な運営対価が設定されることを期待したい。

神戸空港で初めて導入される「空港施設利用料」

近年、全国各地の空港で「空港施設利用料」が導入されている。この「空港施設利用料」は、ロビーの各種施設・保安検査施設の維持管理などに充てられる料金のことで、ターミナルビルの運営会社が国内線で数百円、国際線で数千円程度の料金を設定。利用者(航空機の利用者)は航空会社を通じて支払う仕組みとなっている。空港施設利用料の分類は以下の通り。

空港施設利用料の分類

国際線旅客サービス施設使用料:PSFC(Passenger Service Facility Charge)…国際線の旅客施設の維持管理やサービス提供等に充てられるもの
国際線旅客保安サービス料:PSSC(Passenger Security Service Charge)…国際線の保安検査施設の維持管理等に充てられるもの
国内線旅客施設使用料:PFC(Passenger Facility Charge)…国内線の旅客施設の維持管理やサービス提供等に充てられるもの

これらの「空港施設利用料」は神戸空港では長らく導入されてこなかったが、建設費の償還などを目的とし、第2ターミナルビルでは初めて導入されることとなったのだ。現在、市会の委員会資料で明らかとなっているのは以下の内容で、国際線の出発では大人1人あたり約3,000円程度(ターミナル利用料・保安サービス料等の合計)の空港施設利用料が設定される見込みである。

国際線国内線
(仮称)ターミナル利用料2,290 円/人(出発)300 円/人(出発・到着)
(仮称)保安サービス料570 円/人(出発)250 円/人(出発)
(仮称)手荷物搬送設備システム利用料未定未定

ちなみに、全国の主な空港で導入されている空港施設利用料は下記の通り。(2024年11月現在)

国内線 旅客施設使用料(PFC)

大人
(満12歳以上)
小人
(満3歳以上満12歳未満)
新千歳空港370円180円
仙台空港290円150円
成田空港450円220円
羽田空港370円180円
静岡空港140円70円
中部空港440円220円
伊丹空港340円170円
関西空港440円220円
広島空港340円170円
北九州空港100円50円
福岡空港110円50円
熊本空港200円100円
那覇空港240円120円

国際線 施設使用料(PSFC・PSSC)

PSFC(出発)PSSC(出発)
新千歳空港大人:2,610円 小人:1,300円
成田空港T2大人:2,460円 小人:1,240円大人・小人:700円
羽田空港T3大人:2,950円 小人:1,470円
中部空港大人:2,620円 小人:1,310円大人・小人:580円 
関西空港T1大人:2,780円 小人:1,390円大人・小人:320円
福岡空港大人:980円 小人:490円
那覇空港大人:1,000円 小人:500円

このようにみると、神戸空港第2ターミナルビルで予定されている空港施設利用料は、全国的に見ても高額と言えるだろう。特に、関西空港では国際線の空港施設利用料が3,100円(大人のPSFC・PSSC合計)に設定されていることから、これを強く意識したと考えられる。

以前の記事でも指摘しているが、神戸空港第2ターミナルビルでは商業・飲食施設等が十分に計画されていない。また、空港駅からも離れ、全便がバスハンドリングを予定するなど、利便性の面でも優れたターミナルビルとは言えないのが現状である。そのような中、3,000円近い空港施設利用料を徴収することに利用者の理解を得られるだろうか。

第2ターミナルビルの開業まで半年を切っている。神戸市と関西エアポート神戸には、同ビルの施設充実・利便性向上に向けて一層の努力を求めたい。

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