
先日、神戸空港島への進出が明らかになった新明和工業の新工場について、防衛省向け救難飛行艇「US-2」の組み立てを行う工場となることが分かった。同社が2026年10月30日の決算会見で明らかにした。新工場では、救難飛行艇の組み立てに加え、航空宇宙関連部品の製造・組み立ても検討している。2029年の操業開始を目指す。
新明和工業は、神戸市が事業者を公募していた神戸空港島北西部の産業用地について、優先交渉権者に選定されていた。今回の決算会見では、新工場の具体的な用途が明らかになり、神戸空港島における航空機関連産業の集積に向けた計画が具体化した。
救難飛行艇「US-2」とは
US-2は、新明和工業が製造する防衛省海上自衛隊向けの救難飛行艇だ。飛行機と船の両方の機能を備え、通常の航空機のように陸上の滑走路から離着陸できるだけでなく、海面への着水や海面からの離水も可能な水陸両用機である。
最大の特徴は、波高3メートルの荒れた海面でも離着水できる高い耐波性だ。独自の高耐波性技術と低速飛行性能を組み合わせることで、通常の航空機では着水が難しい洋上での救難活動を可能にしている。
主な任務は、海難事故現場での捜索・救助や、空港のない離島からの急病人・負傷者の緊急搬送など。陸上の空港から離れた海域や離島にも迅速に到達できることから、海上自衛隊の救難活動を支える重要な航空機となっている。
US-2は現在、神戸市東灘区の新明和工業・甲南工場で製造されている。今回、神戸空港島にも組み立て拠点が整備されることで、同社の航空機製造体制に新たな拠点が加わることになる。
新工場では「US-2」の組み立てや航空宇宙関連部品の製造を想定
今回神戸空港島に整備予定の新工場では、防衛省向けに納入している救難飛行艇「US-2」の組み立てを行う計画だ。新明和工業はUS-2の製造を手掛けており、今回の新工場は同機の生産を担う新たな拠点となる。
また、救難飛行艇の組み立てだけでなく、航空宇宙関連部品の製造・組み立てにも新工場を活用することを検討している。防衛省向けの航空機事業に加え、民間航空機分野の需要も視野に入れた生産拠点となる見通しだ。
新明和工業の椢原敬士社長は決算会見で、新たな製造拠点の整備によって防衛関連や民間航空機分野の受注機会を広げ、航空機事業の拡大につなげる考えを示した。
神戸空港島北西部の約1万7500㎡に整備 50年間の借地を提案

新工場の建設予定地は、神戸空港島北西部に位置する産業用地の一部。神戸市が事業者を募集した公募対象地は約2万4,000平方メートルで、このうち新明和工業は約1万7,500平方メートルを使用する計画を提案している。
土地の貸付期間は50年間で、契約方式は事業用定期借地権設定契約を提案している。神戸市の公募条件では、土地賃料は月額1平方メートル当たり550円。提案面積の1万7,500平方メートルに換算すると、月額約962万5,000円となる。
新工場への投資額は数十億円規模を見込み、2029年の操業開始を目指す。神戸市は今回の事業者選定にあたり、航空機関連産業の集積や地域経済への波及効果、雇用創出などを期待している。
神戸空港島に救難飛行艇の組み立てや航空宇宙関連部品の製造を担う工場が整備されることで、同空港島が航空機関連産業の新たな生産拠点として発展することが期待される。
