【新飛行経路】関西3空港(伊丹・関西・神戸)の飛行経路を解説!

関西では伊丹・関西・神戸の3空港が狭い地域に密集していることから、各空港の飛行経路も複雑に絡み合っています。

ここでは、2025年3月20日に運用が始まった関西3空港の新しい飛行経路をご紹介します。(ここでご紹介しているのは昼間の時間帯に主に使用される飛行経路です。深夜時間帯は陸域を飛行しない出発・到着経路が使用されます。)

3月19日以前の飛行経路はコチラ
目次

伊丹空港の飛行経路

伊丹空港は、関西3空港で唯一の内陸空港です。そのため、大阪府上空を中心とした陸域に主な飛行経路が設定されています。

空港北側には北摂山系・六甲山系が迫っているため、離陸後に北方向へ直行する出発経路は設定されていません。また、同様の理由で北方向から滑走路へ直接向かう到着経路(計器進入経路を含む)は設定されていないため、南~東寄りの強風が吹いている場合には周回進入が実施され、滑走路を回り込むような経路を取って着陸します。

出発経路

  • 北海道・東北方面へ:離陸後は東へ向かい、滋賀県南部付近で北東へ向かう。
  • 北部九州方面へ:離陸後は南へ向かい、大阪湾方面で高度を上げた後、神戸市方面へ変針。その後再び変針し、瀬戸内海上空を飛行して西へ向かう。
  • 山陰方面へ:離陸後は南へ向かい、大阪湾方面で高度を上げた後、神戸市方面へ変針。そのまま兵庫県上空を飛行して北西へ向かう。
  • 南部九州・四国・南西諸島方面へ:離陸後は南へ向かい、大阪湾方面で高度を上げた後、神戸市方面へ変針。その後再び変針し、淡路島上空を飛行して南西へ向かう。(2025年3月20日から、淡路島北部で経路が分岐するように新たな航空路が設定されました。)
  • 成田・羽田方面へ:離陸後は東へ向かう。
伊丹空港RWY32L/Rの出発経路詳細図(出典:航空路誌)

また、空港周辺地域の騒音軽減のため、空港周辺の離陸経路に関しては以下のような制限が定められています。

騒音軽減運航方式
  • RWY32L/R使用時(北方向への離陸):離陸後の左旋回中、中国自動車道・武庫川・瑞ケ池・昆陽池で囲まれるエリアを逸脱しない事。
  • RWY14L/R使用時(南方向への離陸):離陸後、阪神高速道路を超えるまで旋回を開始しない事。

到着経路

  • 新千歳・函館・北西方面から:空港の北側から奈良市方向へ向かい、その後八尾市付近を経由して空港へ向かう。
  • 北海道(新千歳・函館を除く)・東北・東方面から:空港の南東から八尾市付近を経由して空港へ向かう。
  • 西・南西方面から:和歌山市付近から北東に向かい、八尾市付近を経由して空港へ向かう。

関西空港の飛行経路

関西空港は、開港までの歴史的経緯から周辺地域への騒音に配慮し、開港直後は出発経路・到着経路ともに大部分が海上に設定されてきました。しかしながら、発着能力の引き上げには陸域を飛行する飛行経路の設定は不可欠であり、徐々に陸域飛行経路が設定されて現在に至ります。2025年3月20日からは、淡路島上空に更に新たな出発経路・到着経路が設定されています。(陸域への騒音軽減のため、関西空港の出発機は5000ft以上、到着機は4000ft以上で飛行するよう高度制限が設けられています。)

大阪平野上空は伊丹空港の到着経路・出発経路が設定されているため、北方面から大阪平野を抜けて滑走路へ直接向かう到着経路は設定されていません。そのため、RWY24L/R使用時に到着機は大阪湾を一周するような経路を使用するのが関西空港の飛行経路の特徴です。

2025年3月20日から滑走路の運用方法も変更となり、A滑走路(RWY06R/24L)は到着機用として、B滑走路(RWY06L/24R)は出発機用として主に使用されています。

出発経路

  • 中東・中国・韓国・ヨーロッパ・北部九州方面へ:離陸後は明石海峡へ向かい、瀬戸内海上空を飛行して西へ向かう。
  • ヨーロッパ・北アメリカ・新千歳方面へ:離陸後は大阪市・南港付近から北東へ向かう。
  • 中国・韓国方面へ:離陸後は淡路島北部付近へ向かい、瀬戸内海上空を飛行して南西へ向かう。
  • 北アメリカ・ハワイ・南太平洋・オーストラリア・成田方面へ:離陸後は紀淡海峡へ向かう。
  • 東南アジア・台湾・沖縄・南部九州方面へ:離陸後は淡路島中部を経由して南西へ向かう。
  • マカオ・香港方面へ:離陸後は淡路島南部を経由して南西へ向かう。
  • 道東・東北・羽田方面へ:離陸後は旋回し、関西空港上空を経由して北東へ向かう。

※上記の飛行経路は標準的な経路の一例であり、神戸空港発着機や伊丹空港発着機との競合によっては上記経路を飛行しない場合もある。

到着経路

  • 太平洋・東日本方面から:紀伊水道の南からPMS経路を経由した後、南あわじ市付近または紀淡海峡を飛行して空港へ向かう。
  • 韓国・北海道方面から:岡山県付近から南下し、PMS経路を経由した後、南あわじ市付近または紀淡海峡を飛行して空港へ向かう。
  • 中国・北部九州方面から:徳島県上空からPMS経路を経由し、南あわじ市付近または紀淡海峡を飛行して空港へ向かう。
  • 東南アジア・台湾・南部九州・南西諸島方面から:徳島県南部付近からPMS経路を経由し、南あわじ市付近または紀淡海峡を飛行して空港へ向かう。
  • 羽田・成田・仙台方面から:和歌山市付近から紀伊水道に抜け、PMS経路を経由し、南あわじ市付近または紀淡海峡を飛行して空港へ向かう。

※PMS経路は基本的に混雑時間帯のみ使用されるため、混雑状況によっては上記の経路を飛行しない可能性もある。

【新飛行経路には”PMS”経路を導入!】

2025年3月20日から運用が始まった関西空港の新しい飛行経路には”PMS”と呼ばれる経路が設定されました。PMSとはPoint Merge Systemの略で、到着経路に円弧を設定し、到着機毎に円弧部分を飛行する距離を調整することで管制間隔を最適化する経路・システムを言います。既に国内では羽田空港・成田空港・福岡空港で導入されており、関西空港でも発着能力の引き上げを狙って導入されました。(PMS経路は徳島県上空に設定されており、混雑時間帯には到着機はPMSが設定された到着経路を飛行することとなります。)

神戸空港の飛行経路

神戸空港発着便は伊丹空港・関西空港の飛行経路との競合を避けるため、明石海峡上空を通過するように出発経路・到着経路が設定されてきました。2025年3月20日からは新しい飛行経路が設定され、出発経路・進入復行経路は淡路島北部を通るように設定されています。(22時30分以降の出発機は、これまで通り明石海峡上空を飛行する出発経路が使用されます。)

※進入復行経路:視界不良等で着陸をやり直す際に飛行する経路のこと

また、関西空港と同様に神戸空港発着便も陸域を一定高度以下で飛行することが出来ません。(陸域への騒音軽減のため、神戸空港の出発機・進入復行機は3000ft以上で淡路島上空を飛行するよう高度制限が設けられています。)

伊丹空港と同様に、滑走路への計器進入経路は片側にしか設定されていないため、西寄りの強風が吹いている場合には周回進入が実施されます。

出発経路

  • 東京方面、東北・北海道方面へ:離陸後は淡路島北部へ向かい、加古川市付近から北西または北東へ向かう。
  • 韓国・北部九州方面へ:離陸後は淡路島北部へ向かい、瀬戸内海上空を飛行して西へ向かう。
  • 中国方面へ:離陸後は淡路島北部へ向かい、淡路島を通過後に南西へ変針して小豆島南部へ向かう。
  • 東南アジア・台湾・南部九州・南西諸島方面へ:離陸後は淡路島北部へ向かい、淡路島を通過後に南西へ向かう。

到着経路

  • 東京・東北・北海道方面から:姫路市~加古川市付近から瀬戸内海に南下し、明石海峡を通過して空港へ向かう。
  • 韓国・中国方面から:姫路市付近から瀬戸内海に南下し、明石海峡を通過して空港へ向かう。
  • 東南アジア・台湾・九州・南西諸島方面から:小豆島北部付近を飛行し、明石海峡を通過して空港へ向かう。
目次