エアバスの大型輸送機A300-600ST(通称:ベルーガST)が近々神戸空港へ飛来するのではないかとの憶測が広がっている。実際に飛来すれば2021年12月ぶり、神戸への飛来としては2回目となる。
納入が続くH225ヘリコプター
2021年12月、ベルーガSTが22年ぶりに日本へ飛来しニュースを賑わせたのは記憶に新しい。この際は、警視庁が発注した中型ヘリコプターH225(通称:スーパーピューマ)を仏マルセイユからエアバスヘリコプターズジャパン神戸空港事業所へと空輸するために神戸を訪れた。
今回は、海上保安庁の発注したH225の納入が今年度中に予定されているという事に加え、今月2日にベルーガST 2号機(F-GSTB)が仏トゥールーズからマルセイユに移動していることから、憶測が広がっているようだ。マルセイユへ移動した同機は、何らかの積荷を搭載して出発するものと考えられるが、今回の動向が日本の海上保安庁向けの空輸であるかは定かではない。
2021年に神戸空港へ飛来した際には、複数の経由地を経てマルセイユから神戸まで4日程を要しており、今回実際に神戸を目指しているのであれば、神戸への到着は5月10日前後と推測される。
ちなみに、海上保安庁は南西諸島・尖閣諸島方面の警備体制強化のため、今年度と令和6年度にそれぞれ巡視船搭載ヘリコプター2機の就役(計4機)、令和7年度に航空基地向けのヘリコプター3機の就役を予定しており、今年度から毎年継続的に新造機が日本へ到着する見込みである。そのため、今後もベルーガSTが神戸空港に飛来する可能性は十分考えられるだろう。
関西空港での通関も将来的に解消されるか
神戸空港では、エアバスヘリコプターズジャパンの事業所が操業していることから、ヘリコプターの空輸が度々行われている。しかし、現在神戸空港では国際線の就航が規制されていることから、CIQ(税関・出入国管理・検疫)が臨時対応となっており、国際運航機材の受け入れは非常にハードルが高いのが現状である。
また、定期便の夜間駐機の増加に伴い、朝晩時間帯は駐機場も手狭となっていることから、輸送機など大型機材の夜間駐機は受け入れが難しい状況にある。そのため、同社によるヘリコプターの空輸は、殆どのケースで関西空港での通関を余儀なくされている。
幸いにも、2022年9月に神戸空港の国際化(2025年から国際チャーター便、2030年前後から国際定期便の受け入れ開始)方針が合意されており、常設CIQの設置に加え、駐機場の拡張も進められている。このため、将来的には通関手続きの為だけに関西空港へ立ち寄るという非効率な状況は解消される可能性が高いと言えるだろう。
外国貿易が自由に出来る空港は法令によって定められており(令和4年7月現在で全国32空港)、その指定を受けた空港は「税関空港」と呼ばれている。国際貨物等の輸出入は基本的にこの税関空港で取り扱う事となっているが、税関空港以外の空港においても個別に申請することで税関手続きを受けることが可能である。
現在、伊丹空港と神戸空港では国際線の取り扱いが制限されているため、関西において税関空港として指定を受けているのは関西空港だけである。今後、神戸空港は国際化が予定されており、数年の間に税関空港として指定を受けるとみられる。その際には、西日本を代表する神戸税関が神戸空港の管轄となる見込みである。
税関空港 | 管轄する税関 |
---|---|
新千歳空港 | 函館税関 |
旭川空港 | 函館税関 |
函館空港 | 函館税関 |
青森空港 | 函館税関 |
花巻空港 | 函館税関 |
仙台空港 | 横浜税関 |
秋田空港 | 函館税関 |
福島空港 | 横浜税関 |
百里飛行場(茨城空港) | 横浜税関 |
成田国際空港 | 東京税関 |
東京国際空港(羽田空港) | 東京税関 |
新潟空港 | 東京税関 |
富山空港 | 大阪税関 |
小松飛行場 | 大阪税関 |
静岡空港 | 名古屋税関 |
中部国際空港 | 名古屋税関 |
税関空港 | 管轄する税関 |
---|---|
関西国際空港 | 大阪税関 |
美保飛行場(米子空港) | 神戸税関 |
岡山空港 | 神戸税関 |
広島空港 | 神戸税関 |
高松空港 | 神戸税関 |
松山空港 | 神戸税関 |
福岡空港 | 門司税関 |
北九州空港 | 門司税関 |
佐賀空港 | 長崎税関 |
長崎空港 | 長崎税関 |
熊本空港 | 長崎税関 |
大分空港 | 門司税関 |
宮崎空港 | 門司税関 |
鹿児島空港 | 長崎税関 |
那覇空港 | 沖縄地区税関 |
新石垣空港 | 沖縄地区税関 |