
大阪バスは神戸空港と大阪駅を結ぶリムジンバスについて、5月1日から減便すると発表した。神戸空港では、ポートライナーの利便性が他を圧倒しており、今回改めてリムジンバスへの集客の難しさが露呈したことになる。現在のダイヤと減便後のダイヤは以下の通り。
便名 | 大阪駅 | 神戸空港 | 便名 | 神戸空港 | 大阪駅 |
---|---|---|---|---|---|
1便 | 8:50発 | 10:10着 | 2便 | 10:50発 | 12:00着 |
3便 | 10:30発 | 11:40着 | 4便 | 13:10発 | 14:20着 |
5便 | 14:30発 | 15:40着 | 6便 | 16:30発 | 17:40着 |
7便 | 15:50発 | 17:10着 | 8便 | 17:50発 | 19:10着 |
便名 | 大阪駅 | 神戸空港 | 便名 | 神戸空港 | 大阪駅 |
---|---|---|---|---|---|
1便 | – | – | 2便 | – | – |
3便 | – | – | 4便 | 13:10発 | 14:20着 |
5便 | 14:30発 | 15:40着 | 6便 | 16:30発 | 17:40着 |
7便 | – | – | 8便 | – | – |
神戸空港と大阪駅を結ぶリムジンバスは昨年9月に大阪バスが開設。1日8便が運行されてきた。運賃は1000円と比較的低価格に抑えられてきたものの、鉄道アクセスと比較して所要時間が長いこと、便数が限定的で朝・晩の航空便が集中する時間帯に運行されていないこと等を背景に開設当初から利用が伸び悩んできた。
加えて、同路線の大阪駅側のバス乗降場所は、伊丹空港・関西空港へのリムジンバスの発着する新阪急ホテル・ハービス大阪ではなく、各私鉄・地下鉄駅から比較的距離のある高架下が利用されてきたため、路線の認知も広まらなかった。

過去の記事でも触れているが、神戸空港のアクセス環境は他の空港と大きく異なり、ポートライナーの利便性が他を圧倒しているという特殊な事情がある。
ポートライナーの運行間隔は、平日の朝夕ラッシュ時間帯で2〜5分に1本、平日の昼時間帯においても5〜8分に1本と運行頻度が非常に高い。これだけの運行頻度を誇る空港駅は日本全国を探しても中々存在しないのだ。さらに、ポートライナーの終点である三宮駅はJRや各私鉄、高速バスなど様々な交通機関に接続しており、「乗り換えが不要」ということ以外にリムジンバスは勝ち目がないのが現状である。
現在、神戸空港には大阪駅路線の他にも淡路島や徳島方面等を結ぶリムジンバスが存在しているが、殆どは三宮・新神戸発着路線を神戸空港まで延伸する形で運行されている。つまり、三宮・新神戸というターミナル駅から各地へ向かう太い需要を基盤に、空港から各地へ向かう需要を上乗せして路線が維持されているのだ。空港と各地を結ぶ需要だけでは採算ラインに乗せることが難しいという事情から生まれた運行形態である。
今後、神戸空港は国際化と国内線発着枠の拡大によって現在の約2倍の旅客数が見込まれている。そのため、空港から各地へ向かう需要も単純計算で約2倍になると考えられるが、仮にリムジンバスの運行便数を現状の2倍に増やしたとしても、運行頻度はポートライナーには到底敵わない。利便性を高めるべく本数を増やせば採算性は悪化し、採算性を高めるべく本数を減らせば利用者は遠のくというジレンマから抜け出すには、空港自体の旅客数を相当引き上げなければならないのだ。
今回の減便により、リムジンバス神戸空港ー大阪駅線の利便性は大きく低下するため、利用状況は引き続き厳しい状況で推移するものとみられる。しかし、来年には神戸空港の国際化が控えている。土地勘の無いインバウンド旅行客は、各地への直行アクセスを選択する傾向が高く、リムジンバスの利用状況が大きく改善する可能性も秘めているのだ。
国際化という新たなステージを機に、リムジンバスの路線拡充・定着を図っていくことが出来るか、神戸空港は今後正念場を迎えることになる。