エミレーツも神戸就航へ意欲!?期待高まる神戸空港国際化

エミレーツ航空の機材
(出典:エミレーツ航空年次報告書)
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大韓に続きエミレーツも

昨年8月、大韓航空が神戸空港への就航に意欲を示しているという事が神戸新聞で報じられた。神戸空港の国際化に際し、具体的な社名が挙がったのはこれが初めてであり、大きな注目を集めた。

そして、これに続き神戸就航に前向きな姿勢を示す航空会社が先日明らかとなった。それは中東の巨大エアライン「エミレーツ航空」である。

6月20日の神戸新聞のインタビュー記事で、エミレーツ航空日本支社長が神戸への就航に意欲を示したのだ。以下、当該記事の引用である。

<話題の人>エミレーツ航空日本支社長 サティシュ・セティ氏 神戸は重要な市場

(前略)
需要は旺盛で、年内にも大阪に営業店を出す考え。神戸も重要な市場とし、国際化を控える神戸空港への就航にも「ドバイは新規就航を歓迎する。今後、市場調査をしたい」と意欲的だ。

神戸新聞 2024/6/20 朝刊

当該記事は、人物インタビューのコラムとして掲載されたもので、同社が具体的に神戸への就航を検討しているという内容ではない。しかし、フルサービスキャリアである大韓航空に続き、エミレーツ社の幹部も神戸空港の国際化に興味を示しているというのは、それだけ神戸空港のポテンシャルが評価されている事の証明であり、神戸空港の国際化への期待の裏返しだと言えるだろう。

また、この他にも関西エアポート神戸の幹部は、アジアの航空会社複数社が神戸空港への就航に興味を示していると明らかにしており、外資系航空会社を中心に神戸空港の国際化には水面下で熱い視線が注がれている。

可能性を秘めた神戸発着の国際線需要

アシアナ航空の路線図。仁川空港をハブとし、日本各地の地方空港にもネットワークを持つ。(出典:アシアナ航空年次報告書)

神戸空港の国際化準備が進められる中、「神戸発着の国際線は需要があるのか?」といった疑問の声が時々上がるが、このような声は杞憂に終わる可能性が極めて高い。

神戸空港開港前にも同様の議論があり、「伊丹・関空がある中、神戸空港に就航する航空会社がいるのか?」といった反対意見は多く寄せられた。しかし、結果はどうであっただろうか?開港時から大手航空会社を含む3社が就航。運用規制として課せられている発着枠は、今日まで使い切った状況が続いている。

また、国際線は国内線に比べて航空会社の母数自体が格段に多い。昨今のインバウンド需要の伸びから、各国エアラインは地方空港発着を含む日本路線を相次いで開設しており、国内線よりも国際線の誘致に係るハードルの方が低いとも言えるのが現状なのだ。

さらに、神戸空港発着の国際線需要を裏付けるもう一つ大きな理由がある。それは、伊丹空港では国際線が飛ばせないという事だ。

神戸空港は伊丹空港と商圏が被っているという指摘は開港前からあり、前述のような「神戸空港に就航する航空会社がいるのか?」といった批判に繋がった。しかし、国際線では事情が異なり、伊丹空港で国際線が飛ばせない以上、その商圏を共有する神戸空港に就航希望が寄せられる可能性が極めて高いのだ。大韓航空やエミレーツ航空が神戸への就航に意欲を示している事が何よりの証明である。

神戸・阪神間には、国際線の入出国機会の多い富裕層やビジネスマン、外国人居住者が多い。しかし、このような需要は全て関西空港で囲い込めている訳ではなく、一部は伊丹・神戸空港から羽田・成田空港を経由する形で首都圏発着の国際線にも流れていると言われている。また、中四国方面からの国際線需要も、関西空港までのアクセスの不便さから羽田空港経由に流れているのが現状である。

神戸空港の国際化は、こういった流れを多少なりと変える可能性をも秘めているのだ。

関西の一玄関口としての自覚を

神戸空港で整備が進むサブターミナルの内観予想図
(出典:神戸市資料)

神戸空港では、来年からの国際チャーター便の受け入れに向け、サブターミナルの整備が進められている。しかし、このサブターミナルは空港駅から孤立し、飛行機への搭乗もバスボーディングが前提となるなど、フルサービスキャリアの航空会社を迎え入れるにはあまりにもお粗末なターミナルである。

神戸空港では、国際チャーター便の受け入れ後、2030年前後には国際定期便の受け入れが予定されており、この頃にはメインターミナルを整備する予定としている。しかし、未だメインターミナル計画の全貌は見えぬままであり、そのスケジュール感の遅さには呆れるばかりである。

国際化がまだ始まっていない現段階で、フルサービスキャリアの代表格とも言える大韓航空やエミレーツ航空から期待の声が寄せられている以上、今後フルサービスキャリアを迎え入れるに相応しいターミナルビルを可及的速やかに検討・整備していかなければならない。

過去の記事でも解説しているように、神戸空港の滑走路長でも米国西海岸や中東等への直行便の就航は十分可能である。つまり、現時点でも神戸から就航可能なエリアは非常に広く、誘致可能な航空会社も多いのだ。

今後、RESAの改修にあわせた滑走路の延長等も前向きに検討すべきではあるが、それ以前に関西ひいては日本の一玄関口として恥ずかしくないターミナル整備が求められている。

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