神戸空港サブターミナル、運営は関西エアではなく別会社に!?

来年春の供用開始を目指して整備が進むサブターミナルビル

神戸空港で整備が進められているサブターミナルビルについて、運営管理者が関西エアポート神戸ではなく別の指定管理者となる可能性がある事が明らかとなった。現在、神戸空港はコンセッション(民営化)により関西エアポート神戸が運営を担っており、同社と運営会社が分かれることになれば全国でも異例の運営体制となる。

目次

一般質問で方針判明

現在の運営体制(収益構造)

・着陸料
・停留料
・施設使用料(航空会社負担)
・テナント賃料
・直営商業施設売上
 など



関西エアポート神戸


想定される今後の運営体制(収益構造)

既存ターミナル発着
・着陸料
・停留料
・施設使用料(航空会社負担)
・テナント賃料
・直営商業施設売上
 など

サブターミナル発着
・着陸料
・停留料
 など



関西エアポート神戸


サブターミナル発着
・施設使用料(航空会社負担)
・旅客施設利用料(利用者負担)
・テナント賃料
・商業施設売上
 など



新しい指定管理者
(神戸市が委託)



20日に開会した神戸市会の一般質問において、議員から「サブターミナルを現在のコンセッションに組み込む予定はあるか」を問われ、神戸市は「新たな指定管理者」への運営委託を示唆した。その理由として、運営権対価の再評価が必要となっている事情を挙げている。

現在、神戸空港で実施されているコンセッションは「国内線1日30便」の規制をもとに運営権対価を設定。一定の売上高を上回った場合には、その額に応じた負担金が発生するものの、大幅な売上増加に転じた場合には、神戸市が相応の対価を得られない契約となっているのが現状である。

今後、神戸空港では国内線発着枠が1日60便に増枠、国際定期便発着枠として1日20便が新設される予定となっており、発着枠ベースのキャパシティは当初の約3倍弱もの規模となる。そのため、現在の神戸空港を運営する関西エアポート神戸へ運営を委託する上で、運営権対価の再評価・再契約は避けて通れなかったのだ。

現在、サブターミナルの建設費は、神戸市が拠出して整備をしている。市はその建設費について「テナントからの賃料や利用者からの旅客施設利用料」を原資に返済するとしており、「関西エアポート神戸からの運営権対価」については言及してこなかった。そのため、既存ターミナルとサブターミナルを経営的に分離するという方針は、かなり早い段階で決められていた可能性が高い。

国際化特集ページでも解説しているが、神戸空港発着の国際線は相当な需要が見込まれるということは言うまでもない。その需要を来年以降の国際化で証明し、関西エアポートに適切な対価で運営権譲渡が出来るよう路線誘致を進めていくべきである。

サブターミナルの魅力向上・利便性向上を

サブターミナルと既存ターミナル・空港駅を結ぶ連絡デッキの整備検討も進んでいる

過日、大韓航空が地方空港では異例となる1日2往復での参入を表明するなど、神戸空港国際化への期待はますます高まっているが、このまま手放しには喜べない。国際線の誘致・定着にあたってサブターミナルの設計がネックとなる可能性があるためだ。

当サイトでは幾度となく指摘しているが、サブターミナルは「空港駅・既存ターミナルからバスで連絡」「全便がバスハンドリング」となるなど、飛行機から空港駅まで2回もバスを利用しなければならないという不便さを抱えている。(サブターミナルと空港駅との間は徒歩でも行き来が可能だが、雨風を凌ぐ専用通路は整備されない。)

そのため、サブターミナルは利用者にとって使い勝手が悪く、空港自体の評判を落とす可能性すら秘めている。空港自体の評判が低下すれば、それは路線の利用率低下に直結する訳で、サブターミナルの評価次第では、今後の国際線の誘致・定着にも影を落とす可能性すらあるのだ。

この問題点については、市民への意見募集でも懸念が寄せられている他、市会議員からも指摘がなされている。そのため、神戸市はサブターミナル着工後に設計変更を実施。将来的にサブターミナルと空港駅・既存ターミナルを結ぶ連絡デッキを整備するほか、サブターミナルへ接するエプロンとボーディングブリッジを整備し、バスハンドリングを解消するという将来イメージを公表している。

今年度については「サブターミナルと空港駅・既存ターミナルを結ぶ連絡デッキ」の計画策定を進めているが、サブターミナル開業までには間に合わないとみられ、前述のような不便さを伴ったままサブターミナルは開業を迎える見込みである。

また、直近の記事でも紹介しているが、サブターミナルには飲食・商業施設が十分に整備されない可能性が出てきている。これは利用者にとっても運営側にとっても非常に大きな懸念事項である。

一般的に、国際線は免税店収入など非航空系収入が大きなウェイトを占める。そのため、飲食・商業機能を充実させることは空港会社にとって不可欠であり、利用者にとっても空港内で如何に時間を持て余すことなく過ごせるかという点で極めて重要なのだ。

特に、神戸空港では今後の「運営権対価」を適切に再評価するためにも、非航空系収入を最大化させることは必要不可欠である。サブターミナルを発着する国際線・国内線の規模が確定しておらず、テナント誘致が難しいという事情は理解できるが、今後は国際線の誘致状況に合わせて柔軟に施設計画を見直していかなければならない。

現在、神戸空港では既存ターミナルにおいても飲食・商業施設は貧弱である。このまま国際線が就航した場合、収益拡大の機会損失を生むことはもちろん、利用者の不満を生む可能性は否定出来ない。

飲食・商業施設を充実させることは、サブターミナルの不便さを打ち消すには至らずとも、利用者の満足度・快適性向上には資するものである。連絡デッキの整備やバスハンドリングの解消に向けたハード整備に加え、ターミナルビル内の飲食・商業機能の充実も待ったなしの状況である。

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