
SKYに加えて浮上した本邦航空会社

(出典:SKYプレスリリース)
スカイマークが神戸空港での国際線参入の検討を進める中、同空港での国際線展開を狙う別の航空会社が浮上している。現時点で、神戸発着の国際線の開設検討について公言しているのは、本邦航空会社としてはスカイマークのみであるが、ここに来て神戸空港の本邦航空会社による初めての国際定期便がスカイマーク以外となる可能性も出てきているのだ。
現時点で、就航に向けた調整がどの程度まで進められているのかは不明であるが、参入は2030年前後の国際定期便の解禁時期を目指しているとみられる。(神戸空港ではハード面・ソフト面の不足を理由に、現在国際線の受け入れを制限する状況が続いている。そのため、国際定期便の解禁を待たずに、神戸空港での受け入れ体制が整ったタイミングで定期チャーター路線として参入する可能性も考えられる。)
前置きしたように、ここでは具体的な航空会社名や計画路線については伏せるが、唯一のヒントは「近距離~長距離国際線の運航実績がある本邦航空会社」という事だけは触れておきたい。
中・長距離路線誕生の可能性も

(出典:flightradar24)
神戸空港の滑走路は2500mと一般的な国際空港と比べて短いため、マスコミは「近距離路線しか就航出来ない」などと報じることが多い。政財界人や利用者もこのように思い込んでいる事が多いのだが、実はこれは誤りである。
以前の記事で解説しているが、2000年代に誕生した最新機材はエンジン性能の向上や機体の軽量化が進んでおり、実は2500m滑走路で就航可能な地域は大きく拡大している。その機材の代表格とも言えるのがB787であり、米国西海岸や中東方面のレンジであれば、2500m滑走路であってもほぼ制約を受けることなく就航が可能なのだ。
今回浮上した航空会社もB787を有しており、首都圏発着路線として近距離国際線はもちろん中・長距離の国際線も展開している。そのため、現在関西エリアで競争が激化している近距離路線(アジア路線)への参入を避け、神戸発着の中長距離路線に参入する可能性も十分考えられるのだ。

アウトバウンドの需要喚起に繋げよ
今回、某社が神戸空港に目を付けた理由は空港後背地の旺盛な航空需要にある。神戸空港国際化に関する特集ページでも紹介しているが、神戸空港・伊丹空港は後背地にアウトバウンド需要(ビジネス・レジャーともに)を多く抱えている。しかし、これまでは両空港で国際線を飛ばせなかったことから、大手航空会社は伊丹空港や神戸空港から羽田空港・成田空港を経由する国際線利用者を囲い込むことに傾注してきたのが実情である。
だが、この戦略は今後変革が求められることになる。今後神戸空港における国際線の受け入れが拡大するにつれ、両空港の後背地の国際線需要は一定程度神戸空港へ向かうことになるためだ。目下、円安が進行しアウトバウンド需要が先細る中でも、某社が神戸空港の国際線への参入を狙っているという事情はこれを裏付けていると言えるだろう。
現在、神戸空港の国際線はアジア路線に偏っており、インバウンドの利用者が約8割を占めている。だが、これは国際縁の受け入れを制限している事情があるため、本来の姿(需要)を表しているとは到底言えない。今後の国際線の路線拡大とともにアウトバウンドの割合は徐々に拡大していくことが予想され、神戸空港はアウトバウンドに選ばれる空港としての戦略も求められることになる。
神戸空港の国際化に際し、就航した外資系航空会社の首脳の多くも「ビジネス需要の期待」を口にしている。神戸空港の国際化は、これまでの「羽田・成田空港経由の需要囲い込み戦略」に一石を投じるという役割も期待されているのだ。

試される神戸市・関西エアの取り組み姿勢

(出典:神戸市資料)
神戸空港の国際化に際し、神戸市は不足する施設の新規整備に取り組んでいるが、これまでの取り組みはあまりにもお粗末である。
第2ターミナルビルを敢えて空港駅から離れた不便な位置に整備した事にはじまり、目的不明な緑地整備計画(のちに撤回)、使用されない国内線エリアの整備、ターミナルビル自体の容量不足など、挙げればキリが無い。これらの問題に共通しているのが「航空会社との対話不足」「利用者目線の欠如」であろう。

神戸空港の国際化を巡っては、20社程から就航オファーがあったものの、ターミナルビルの容量等の観点からその殆どを断ったことが明らかとなっており、神戸市長は記者会見で「予想外であった」などと呑気に発言している。国際化に際し、事前に市場調査を行い、航空会社と就航意思の確認を行っていればこのような事態にはなり得ない。
また、第2ターミナルビルには国内線エリアが整備されたが、利用されることのないままその役割が終了する事態(国際線ラウンジの整備・国際線搭乗待合室の拡張に国内線エリアを転用するため)に陥っている。既に就航している航空会社が、国内線増便の為にわざわざ不便な第2ターミナルを利用するだろうか?その可能性が極めて低いという事は火を見るより明らかであり、神戸市は航空会社の意向を確認することなくハード整備を進めていると言わざるを得ないのだ。
2030年前後の国際定期便解禁に向け、近いうちにメインターミナルの整備方針が示される予定である。このメインターミナルでは、現在第2ターミナルが抱えている「空港駅との孤立」「バスハンドリング」「チェックインカウンター・CIQ施設の容量不足」「飲食・商業施設の不足」などの諸課題は絶対に解消しなければならない。
今回浮上した某社の就航計画だけでなく、国際定期便の受け入れがスムーズに実現するよう、神戸市や関西エアポート神戸は「航空会社との対話」を大切にし、「利用者目線」で必要な施設整備が円滑になされるよう切に願うばかりである。


