【神戸空港サブターミナル】無用の長物「緑地空間」は削減し利便性改善か!?明らかになった最新図面から読み解く

サブターミナルビルのイメージ(出典:神戸市資料)

神戸市は27日、神戸空港のサブターミナルビルに整備する保安検査機器の導入に係る入札を公告した。サブターミナルビルの整備を巡っては、12月の神戸市会経済港湾委員会で保安検査機器導入に係る予算が可決されており、今回の入札では「CT型スマートセキュリティシステム」「X線検査装置(AD型)」「ボディスキャナー」「爆発物検知装置(EDS)」の購入が予定されている。

また、入札公告で明らかとなった最新図面では、当初の青写真からサブターミナルの整備位置が変更されている可能性が高いことも判明した。

目次

処理能力向上が期待されるスマートレーン・スイング設備

伊丹空港で採用されているスマートレーン(出典:関西エアポート資料)

以前の記事でも触れているが、サブターミナルの保安検査場には、神戸空港では初となるスマートレーンが導入される。スマートレーンとは複数人の手荷物検査を同時に実施可能な保安検査システムの略称で、保安検査場の処理能力の向上が期待出来ることから、主要空港を中心に導入が広がっている。

今回、サブターミナルに整備が予定されているのはCT型とX線型の検査機器で、いずれもスマートレーン化された最新設備が導入される見込みである。入札公告によると、国際線保安検査場にCT型検査機器2台、国内線保安検査場にCT型検査機器1台とX線型検査機器1台、これに加えて時間帯毎の需要に応じて国際線・国内線で切替(スイング)運用可能なX線型検査機器1台が導入される予定となっている。

また、搭乗者へのより高度な保安検査が求められる国際線の保安検査場には、ボディースキャナーが2台配備されることも判明している。

現在、神戸空港の既存ターミナルでは、朝のラッシュ時間帯における保安検査場の混雑が大きな問題となっている。神戸空港の運営権を取得した関西エアポート神戸は当初、保安検査場の混雑解消策として処理能力向上が期待されるスマートレーンの導入を検討するとしていたが、保安検査場の改修は先送りされているのが現状である。サブターミナルでは、スマートレーンの導入により保安検査場の混雑低減が期待される。

カウンターでの手荷物受託も簡素に

インラインスクリーニングが導入されている羽田空港。自動手荷物預け機で預けられた手荷物も機側への搬送途中に検査が行われる。

サブターミナルでは、航空会社カウンターでの受託手荷物の預け入れにも既存ターミナルとは異なるシステムが導入される。それはインラインスクリーニングである。

インラインスクリーニングとは、受託手荷物の搬送途中にX線検査を行うシステムの事で、カウンターで預けられた手荷物はバックヤードで検査が行われる。神戸空港の既存ターミナルをはじめ殆どの地方空港では、航空会社カウンターの前に設置されたX線検査機器で旅客立ち会いのもと検査を行っているが、カウンター前での利用者の滞留、X線検査機器の設置スペースが発生するなどデメリットが多い。そのため、主要空港ではインラインスクリーニングが標準的なシステムとなっている。

サブターミナルには、このインラインスクリーニングが導入されることから、既存ターミナルに比べてカウンター周辺がスッキリとした印象になると同時に、利用者にとってもカウンターでの手続きがよりスムーズになると期待される。

緑地空間の整備は撤回か!?

整備事業者が示したサブターミナルの整備計画位置(出典:神戸市資料)
新たに示されたサブターミナルの最新図面(出典:神戸市資料)

今回、保安検査機器の導入計画だけでなく、もう一つ大きな事が判明している。それはサブターミナルの整備位置の変更である。

保安検査機器の購入に係る入札公告にあたり、最新の図面が一部公開されている。これによると、サブターミナルは当初示されていた整備位置から東に移され、サブターミナル東側にはカーブサイド(ロータリー)を整備するとみられる空間が取られているのだ。当初、この位置には緑地空間が整備されることになっていた。

サブターミナルは「海に浮かび、森を感じる」というコンセプトが掲げられ、積極的に緑を取り入れる計画で整備事業者の公募が行われた。このコンセプトをもとに、サブターミナル整備事業者として落札した企業は、サブターミナル東側に緑地空間を整備することを示した訳であるが、この空間ははっきり言って「無用の長物」であった。

実は、神戸空港島の海上アクセスターミナルの駐車場南側には、既に緑地空間すなわち公園が存在しているのだが、どれだけの方がご存知だろうか?空港島西端の人工海浜は比較的認知されている一方、この公園の認知度は低く、日中でも殆ど人の姿は見られないのが現状である。それもそのはず、空港・ベイシャトルの利用者はまず「公園に用はない」のだ。

空港に来る利用者がわざわざ緑地空間(公園)を散策するだろうか?更には、緑地空間を確保するため、空港駅・駐車場から離れた位置にサブターミナルを配置する必要性があるだろうか?「緑地空間」を整備するとしていた当初の計画は、利用者目線からあまりにも乖離していたと断言せざるを得ない。

サブターミナルは、既存のターミナルビルから離れた位置に整備することが予定されており、空港駅からの利便性等に市民や議会からも疑問・懸念の声が寄せられている。神戸市から正式な発表はされていないが、「余計な費用が掛かり、利便性を低下させる無駄な空間」を削減し、より既存ターミナルに近接した位置へ整備するという方針に転換したのであれば、一定の評価が出来ると言えるだろう。

将来性・利便性を高める工夫を

以前の記事でも触れているが、当初サブターミナルビルは既存ターミナル・空港駅からバスで連絡するという方針が示されていたものの、利便性低下の懸念から見直しを求める声が多く、歩行者デッキの整備が新たに検討されるなど計画に手直しが入りつつある。

サブターミナルは、航空機への搭乗・降機はバスハンドリングとなるため、利用者にとっては只でさえ利便性が悪い。この利便性を補うため、サブターミナルへのアクセスやターミナルビル内の快適性はとことん追求するべきであり、緑地空間の整備など中途半端な取り繕いをしている場合ではない。緑地空間の整備に掛ける予算があるのであれば、その費用はターミナルビル内の商業施設の整備や歩行者デッキの整備・駐車場の拡充など、利用者の利便性を高めるハード整備に充てるべきである。

2030年前後の国際定期便の就航に向け、今後メインターミナルの整備も予定されているが、サブターミナルはその間の繋ぎの重要な施設となる。利用者目線で利便性を高める工夫や、最終的にはメインターミナルと一体的に運用出来るような将来性も必要だろう。

今後、海外からの利用者にとって神戸空港は関西空港と並んで「関西の玄関口」の一つとなる訳であり、神戸空港の印象が関西の第一印象に直結することになる。神戸市や神戸空港を運営する関西エアポート神戸は、「神戸の玄関口の国際化」というような近視眼的な発想から脱却し、利用者目線でサブターミナル・メインターミナルの整備を進めていかなければならない。

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