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【大規模改修】関西空港A滑走路 嵩上げ工事に着手

1期島では護岸の嵩上げ工事が実施されてきたが、今秋からは滑走路の嵩上げ工事が実施される

関西エアポートは9月から関西空港のA滑走路の嵩上げ工事に着手する。

滑走路の嵩上げ工事は深夜時間帯を中心に行われるが、日中時間帯にも作業が及ぶため、一部曜日を除いたピーク時間帯以外はA滑走路が閉鎖され、B滑走路1本での運用となる。工期は2021年9月~2022年7月を予定している。

高潮・高波対策が急務の1期島

関西空港1期島の地盤の高さ(出典:関西エアポート)

A滑走路を含めた関西空港1期島は、2018年9月の台風21号による高潮・高波を受けて水没。これを受け、1期島では高潮・高波対策が進められ、これまでに電源施設の地上化や護岸の嵩上げが完了している。

関西空港島は開港から地盤沈下が続いており、既に1期島では海抜ゼロの地点も存在する。その1期島に位置するA滑走路の標高は、06R側末端が4.6ft、24L側末端が13ftと全国的に見ても低さが際立っていた。

関西国際空港などを運営する関西エアポートは27日、平成30年9月の台風21号による浸水被害を受けて実施してきた防災対策工事の様子を報道陣に公開した。護岸のかさ上げはほぼ完了し、波の勢いを弱める消波ブロックの設置も10月末に完成する見通し。5メートルもの高波が護岸を越えた21号規模の台風でも浸水を防ぐ備えが整うという。

関西空港最大2・7メートルのかさ上げ ほぼ完了 防災対策工事(産経新聞 2021.7.27)

重ね舗装による大規模工事

今回の工事は、現在の滑走路に上から舗装を繰り返すことで滑走路全体の嵩上げ(16cm~50cm程度)を行う。

そのため、滑走路上に設置されている滑走路中心線・接地帯灯など一部灯火が使えなくなるほか、滑走路面のグルービングが施されないことから、工事期間中はA滑走路での離着陸に必要な気象条件が引き上げられる。(ILSはCAT2からCAT1運用となる。)

また、滑走路末端の取り付け誘導路においてもコンクリート舗装による嵩上げ工事が実施されるため、離陸機に対しては滑走路長を一部短縮した運用が行われる見込みである。

グルービングとは

滑走路の水捌けを良くするため、滑走路に刻まれている溝のこと。グルービングの有無によって、降水時の路面状態が変わるため、飛行機の横風制限値に影響を与える。

ピーク時間帯以外はA滑走路閉鎖

関西空港全景。A滑走路は画像下側(出典:航空路誌)

滑走路に使用されるアスファルト舗装は、コンクリート舗装に比べて比較的短時間で硬化する。しかしながら、今回の工事は滑走路全面の広範囲にわたることから、6時30分~14時のピーク時間帯を除いて、滑走路を閉鎖した上での工事が予定されている。(一部曜日を除く。)

そのため、A滑走路の閉鎖時間帯は、全ての航空会社がB滑走路の利用を余儀なくされることから、運航ダイヤにも若干の影響が出る可能性がある。特に、第1ターミナルを発着する航空会社(ピーチ以外の航空会社)は、A滑走路での出発・到着に比べて地上走行時間が長くなる。

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