神戸空港、第3駐車場を整備へ!今後求められる既存駐車場の立駐化

新たに駐車場が整備される土地
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第3駐車場はターミナル東側に整備

第3駐車場は旅客ターミナルビル東側に整備される
(出典:神戸市資料)

神戸市は、神戸空港で新たに整備する駐車場の工事に関する入札を公告した。開札は今月下旬を予定しており、工事の完成期限は来年3月31日としている。

新たに整備される駐車場は、来年予定される国内線発着枠の拡大と国際化による利用者増加に備えて整備されるもので、名称は「第3駐車場」となる。

第3駐車場の整備位置は既存ターミナルビルの東側のため、既存のターミナルビルへのアクセスは比較的良好である。また、来春開業予定のサブターミナルビルからは比較的距離があるが、バス停は近接しているため、連絡バスを利用する場合には、比較的容易にアクセス可能となる見込みである。

収容台数は設計図面から読み解くと約400台となっており、開業後は第1駐車場・第2駐車場と併せて約2500台が確保されることとなる。現在、神戸空港では繁忙期を中心に第1駐車場・第2駐車場が満車となるケースが常態化。繁忙期には、旅客ターミナルから遠く離れた貨物ターミナル東側に臨時駐車場を開設することで凌いでおり、駐車場の拡張・新設が急務となっていた。

神戸市は、この第3駐車場(約400台)と繁忙期に設置される臨時駐車場(約600台)で当面の需要を捌き切れるとしているが、今後控えている国内線の増便と国際線の就航規模によっては、駐車場不足の問題は解決しない可能性も考えられる。

行き当たりばったりの整備計画

当初のサブターミナルビル配置図。第3駐車場はメインターミナルの整備予定地に整備される。
(出典:神戸市資料)

以前の記事でも指摘しているが、第3駐車場の整備位置はターミナルビルの拡張用地として開港当初から用意されている土地である。南側は制限区域であるエプロンに面するなど、本来は駐車場の整備に適した土地ではない。

また、2030年前後の国際定期便の受け入れに向け、メインターミナルの整備が予定されており、その整備予定地として今回駐車場が整備される区域が明示されている。メインターミナルの規模等は未だ示されていないが、今回整備される第3駐車場がメインターミナルの計画の妨げとなる可能性すらあるのだ。

現在、サブターミナルビルが第2駐車場の西側に建設中であるが、当初は管制塔や消防施設の西側に整備する予定であった。既に用意されているターミナルビル拡張用地を敢えて利用しなかったのは、将来的なメインターミナルの整備に支障が出ないよう配慮したためと考えられる。しかし、今回の駐車場整備では、ターミナルビル拡張用地を利用するなど、チグハグ感が否めない。(当初からこの位置にサブターミナルを整備していれば、空港駅からほぼ直結した利便性を得られていたということは言うまでもない。)

今後、空港駅とサブターミナル、海上アクセスターミナルを結ぶ歩行者デッキの整備も予定されている。行き当たりばったり、ツギハギだらけの計画とならぬよう、神戸市は空港島全体を今一度俯瞰し、今後の整備計画を立案しなければならない。

サブターミナルは第3駐車場の整備予定地に整備する事も可能であったが、
既存ターミナルから離れた第2駐車場の西側に整備が進められている。
(出典:神戸市資料)

値上げ分を原資に立体駐車場の整備を

広島空港では民営化によって立体駐車場が整備されるなどハード面の投資が進んだ。
(出典:広島空港特定運営事業等マスタープラン)

メインターミナル計画の存在を踏まえ、駐車場不足解消の解決策となるのは、ただ一つ「立体駐車場の整備」である。

立体駐車場は主要空港では勿論、比較的利用者の多い地方空港にも整備されており、ターミナルビル前面の限られた土地を有効活用する点で大きな意味がある。加えて、雨天時の利用者の利便性や、青空駐車場を嫌う利用者の存在を考えれば、その整備効果は絶大である。

神戸空港の既存駐車場は、平面的には限界まで拡張しきっており、青空駐車場で処理できる能力を既に超えているのだ。整備に費用が掛かることを理由に、立体駐車場の整備を避け続けているようでは、利用者からの不満は今後一層増すことになるだろう。

関西エアポート神戸は今年4月より駐車料金を値上げしている。諸物価・人件費が高騰する昨今、一定の値上げは仕方無い面もあるが、今回の値上げ幅は比較的大きく、駐車日数によっては関西空港の駐車料金をも上回る料金改定である。

直近の決算では、関西エアポート神戸は過去最高益を記録している上、来年からは国内線発着枠の増枠と国際化による更なる増収増益も期待されている。そのような中、駐車料金の引き上げが単なる同社の増収策としてのみ利用されるようでは、利用者の満足度低下にしか繋がらない。駐車料金の値上げによって得られた利益は、今後立体駐車場の整備など、利用者の利便性向上に資する投資に回されることを期待したい。

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