神戸空港で『地上管制席』の運用が開始!年々増加する運航便へ対応

話題となった大型輸送機『ベルーガ』と神戸空港の管制塔

2022年2月24日から、神戸空港の飛行場管制において『地上管制席』の運用が開始されることが分かった。今後、『地上管制席』が運用されることで、更なる交通量増加へ対応が可能となる。

目次

飛行場管制所の業務分担

神戸空港のような比較的交通量が多い空港では、空港周辺を飛行する全ての航空機は航空管制官の指示に従って運航しなければならない。

その航空管制官が指揮を執っている場所が空港の飛行場管制所、いわゆる管制塔である。(交通量が比較的少ない空港では飛行場管制所は置かれず、飛行場対空援助業務が提供されている。詳しくは過去の記事を参考にされたい。)

さらに、飛行場管制所が置かれた管制塔では、『管制承認伝達席』『地上管制席』『飛行場管制席』などの業務分担が存在し、それぞれ以下のような業務を実施している。

飛行場管制所における主な業務分担

●管制承認伝達席
計器飛行方式によって出発する航空機に対して、管制承認(フライトプランに記載された経路・高度等の承認)等を伝達・中継する。無線交信でのコールサインは「デリバリー」が用いられる。

駐機場の航空機に対し管制承認を伝達

●地上管制席
航空機のプッシュバック・地上走行の許可等を発出。管制承認伝達席が運用されていない場合には、管制承認の伝達も担当する。無線交信でのコールサインは「グランド」が用いられる。

地上走行の許可等を発出

●飛行場管制席
滑走路の横断許可や離着陸許可等を発出。管制承認伝達席・地上管制席が運用されていない場合には、管制承認の伝達・地上走行の許可等も担当する。無線交信でのコールサインは「タワー」が用いられる。

離着陸の許可等を発出

このうち、『管制承認伝達席』は交通量が多い空港(成田・羽田・伊丹・関西など)のみで運用されており、その他の空港では交通量の多さに応じて『地上管制席』と『飛行場管制席』での運用、もしくは『飛行場管制席』のみでの運用が行われている。

業務分担により更なる交通量増加にも対応

神戸空港の管制塔でも、開港から現在まで『飛行場管制席』のみが置かれ、飛行場管制が行われていたが、近年は発着規制の緩和によって定期便の発着も増加。使用事業・プライベート機等の利用も年々増加しており、『飛行場管制席』のみの運用では限界を迎えつつあった。

特に、神戸空港においては出発経路と到着経路が一部重複することから、到着機・出発機の状況に合わせたタイムリーな管制指示の発出が求められる。そのため、離着陸許可などの無線交信と、プッシュバック・地上走行の許可や管制承認の伝達などの無線交信を同一周波数で運用することは、円滑な飛行場管制の支障となっていたのである。

このような事情から、2月24日から神戸空港においても『地上管制席(KOBE GROUND)』が新設されるに至った。今後は、プッシュバック・地上走行の許可や管制承認の伝達などは『地上管制席』が担当、離着陸許可など主に飛行場周辺の航行に関わる管制を『飛行場管制席』が担うことになるため、より一層の交通量増加にも対応が可能となる。

神戸空港で運用が始まった「地上管制席」では、基本的には管制承認の伝達のみが行われており、「管制承認伝達席」のように運用されている。これは、神戸空港でヘリコプターの発着が多いことに起因しており、ヘリコプター運航者の負担軽減を目的に特殊な運用となっている。(ヘリコプターでは飛行機に比べ、飛行中の周波数切替が大きなタスクとなる。)

地方管理空港では初の『地上管制席』

2月24日から赤色で示されたグランド周波数が追加となる(出典:航空路誌)

実は、地方管理空港において『地上管制席』が新設されるのは初めてのことである。これは神戸空港の定期便運航便数などを念頭に置くと別に不思議な話ではないのだが、地方管理空港では『飛行場管制所』すら置かれないケースも多いということを考えると、今回の管制席新設は極めて異例の対応と言えるだろう。

また、神戸空港の西側には『特別管制区』が開港当初から設定されている。この『特別管制区』はプライベート機など有視界飛行方式で飛行する航空機の飛行を制限する空域の事で、地方空港に設定されるケースは極めて珍しい。このようなことから、神戸空港は運用面でも既に地方空港の枠組みに収まっていない事というがお分かり頂けたのではないだろうか?

全国の空港旅客数ランキングでも常に上位にランクインし、地方空港の枠組みを超えている神戸空港。その将来像は運用規制の取り扱いに左右されるが、更なる運用拡大に備え、運用面でも着々と受け入れ準備が進んでいるのだ。

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