来年4月の国際化を控え、国際線の就航予定が徐々に明らかとなっている神戸空港。水面下では、各エアラインによる就航希望が相次いでおり、早くも第2ターミナルがキャパシティオーバーに陥る可能性が出てきている事が分かった。国際化という「真の開港」を前に、各エアラインからの就航希望を断る可能性も否定できない異例の事態となっている。
これは、昨日開かれた神戸市の記者会見で久元市長が明らかにした。同会見で、神戸空港の国際線の準備状況について聞かれ、「(就航希望が)かなり沢山来ている」と述べ、CIQを含めた第2ターミナルのキャパシティが問題となる可能性に言及したのだ。
以前の記事で触れているが、神戸空港第2ターミナルは、国内線エリアを縮小し、国際線エリアを当初の想定より拡大して整備が進められていることが明らかとなっている。だが、最新図面から推察すると、ピーク時間帯の想定便数は小型機3機程度とみられ、同時に多くの便を受け入れることは困難な状況である。(当初示されていた整備案では、ピーク時間帯の想定便数は大型機1機(B777-200ER)1機もしくは小型機(A320neo・B737-800)2機、想定旅客数は計290〜312人とされていた。)
また、CIQ(税関・出入国管理・検疫)体制については、関係省庁との調整は進められているが、運航便の種類があくまで国際チャーター便のため、CIQ体制は「常駐」ではなく「出張対応」になることが直近の神戸市会における局長答弁で明らかとなっている。そのため、CIQに関してもキャパシティは限定的で、同時に多数の便を捌けるほどのキャパシティは当面確保されないとみられる。
現在、大韓航空・ベトジェット(期間限定チャーター)・スターラックス航空が正式に就航表明を行っているが、この他にもフンヌ・エアやエバー航空も就航を計画、タイガーエアやエアアジアについても神戸への参入に意欲を見せている。そのため、各エアラインの運航計画によっては、ピーク時間帯の発着便数が、CIQ施設を含めた第2ターミナルのキャパシティを超える可能性が出てきているのであろう。今後、水面下で各社のダイヤ調整が行われるとみられるが、状況によっては就航希望を断るケースが出てくる可能性も考えられる。
特集ページでも触れているが、現在の想定(2030年頃の国際定期便発着枠1日20往復)は実需要に対して相当過少に見込んでおり、キャパシティオーバーしないように施設整備を進めるべきだと当サイトでは散々指摘してきたところである。早くもキャパシティオーバーが危惧される第2ターミナルを反面教師とし、メインターミナルについては施設規模を見誤らないよう計画を立てなければならない。
空港アクセスの将来像、メインターミナルの絵姿など、国際空港としての神戸空港の将来像は未だ示されていない。空港設置者として神戸市のリーダーシップが求められている。