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ニュース特集神戸空港国際化

神戸空港開港16周年!着々と進む国際化への受け入れ準備

現在、神戸空港ではターミナルビルの天井改修工事が行われている

2022年2月16日、神戸空港は開港から16周年を迎えた。

昨年に続き、新型コロナウイルスの影響により厳しい運用状況が続いているが、徐々に回復傾向を見せており、2021年の旅客数は前年実績を上回った。また、国際航空需要は国内線以上に先が見通せない状況が続いているが、国際化の準備は着実に進められている。

底を脱した旅客数

2021年1月~12月の年間旅客数は約160万人となり、過去最低を記録した昨年度(旅客数 約119万人)を底に、旅客数は徐々に回復傾向を見せている。

上記のグラフは、2020年と2021年の神戸空港月次利用実績の比較である。搭乗率は依然として低い水準であるが、旅客数は前年に比べて増加傾向であることがお分かり頂けるだろう。ただ、依然としてコロナ禍前の水準を割り込む状況は続いており、かつての賑わいは未だ取り戻せていない。

昨年3月には花巻線が新規就航したほか、今年3月にも新潟線の就航が予定されるなど、神戸空港の路線数はコロナ禍にありながらも着実に増加している。厳しい状況下ではあるが、今後は新規路線の利用促進・定着に向け、更なる取り組みが求められている。

目立つテナント撤退

飲食店テナントの撤退で生まれた3階のフリースペース

現在、神戸空港のターミナルビルでは、天井の改修工事を実施されている。しかし、中期経営計画に盛り込まれていた商業エリアの改修・拡充は先送りが続いており、目立った改修はファミリーマートのビル内移転(1階到着ロビーから2階出発ロビーへの移転)に留まっている。

また、旅客数の大幅な減少に伴い、ターミナルビルはテナントの撤退が目立つ。その中でも、3階の一部店舗区画はテナントの撤退後、フリースペースとして改修された。神戸空港には元々こうした滞留空間が少なく、新たに生まれたフリースペースは利用者の貴重な休憩・待合スペースとして機能している。

現在、関西エアポート神戸は、期間限定の土産店の出店誘致やキッチンカーによる飲食販売の実施など、ターミナルビルの賑わい創出のために試行錯誤を重ねている。

進むアクセス改善

片側3車線への拡幅工事が進む生田川右岸線

空港全体の利用実績は依然として低調ではあるが、現在議論が進められている国際化に向け、ハード面での受け入れ準備が進められている。その柱となるのが、空港連絡橋の拡幅生田川右岸線の拡幅である。

神戸空港の主要アクセスであるポートライナーは混雑が年々深刻化していた。その対策として、神戸市は空港アクセスバスの運行を計画。アクセスバスのスムーズな運行を可能とするため、空港連絡橋は片側1車線を片側2車線へ拡幅、生田川右岸線は片側2車線となっている混雑区間(主に国道2号線以南)を片側3車線へ拡幅することを決めたのだ。

これらに加え、港島トンネルの延伸に神戸市が近く着手する見込みである事も先日神戸新聞で報じられた。港島トンネルは神戸都心部から神戸空港へのアクセスだけでなく、今後開通する阪神高速5号湾岸線延伸部と3号神戸線・7号北神戸線方面を結ぶ連絡道路として大きな役割を担うだけに早期の具体化が望まれる。

空港連絡橋は東側に拡幅され、片側2車線道路へと生まれ変わる

コロナ禍前には、三宮・新神戸と空港を結ぶアクセスバスの本格運行が始まっていた。しかし、アクセスバスの運行効果を検証できぬままコロナ禍に突入し、現在はラッシュ時間帯のみの運行となっている。今後、航空需要が回復するタイミングを見計らい、ポートライナーからアクセスバスへの分散利用は進むのか、改めて検証が必要である。

また、道路アクセスに手がつけられている一方、鉄道アクセスであるポートライナーには殆ど手がつけられていない。今後のポートライナーの在り方、新神戸から空港へ至る南北交通の将来像に関しても積極的な検討が求められる。

国際化は万博に間に合うか?

朝・夜時間帯には駐機場の余裕も無いのが現状である

神戸空港の国際化は「大阪関西万博が開催される2025年頃を目処」とすることが、関西3空港懇談会で合意されている。だが、スケジュール的にはかなり厳しいと言わざるを得ない。2025年4月の万博開催まで間もなく3年を切ろうとしている為である。

ちなみに、神戸空港の現在のターミナルビルは着工から完成まで約1年3ヶ月、整備事業者の決定から完成までは約2年を要している。同程度の規模の新たな国際線ビルを準備するとなると、最低でも約2年を要する。

現在、神戸市と関西エアポートは神戸空港の具体案について検討を進めており、その内容は早ければ今夏開催予定の関西3空港懇談会で示される予定である。その内容次第ではあるが、国際化を万博に合わせるというスケジュールに重点を置くのであれば、大掛かりな国際線ビルを新設する時間的余裕は無く、現ターミナルビルの増築という限定的な形で国際化を迎える可能性も考えられる。

関西エアポートの山谷社長は、数年前のマスコミのインタビューで「20便から30便程度の便数が無いと国際空港としての運営は難しい」とも発言している。関西エアポートが求める規模での国際化を優先するのか、はたまた万博というタイミングを重視し、小規模な国際化から進めていくのか、次回の関西3空港懇談会に示される具体案に注目が集まっている。

空港島にはターミナルビル拡張用地に転用可能な未利用地も広がる

待ったなしの更なる規制緩和

今年の夏ダイヤにおいて、神戸空港では1日最大39往復便の運航が予定されており、発着枠に対する空きは僅か1枠である。これでは国際化はおろか、国内線の更なる増便もままならない。

神戸空港の発着枠について、明確な根拠が存在しないということは当サイトでも指摘しているが、飛行経路の特性上、際限無く飛ばすことは出来ないのもまた事実である。

国際化には発着枠の更なる増枠が避けられないが、現状の運用で実現できるのか、飛行経路等の見直しが必要になるのか。開港から16年が経過し、管制側でのデータもある程度蓄積されたはずである。今後予定されている神戸空港の国際化に際しては、実際の運用に関わっている航空局にも積極的な関与が求められる。

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