
拡張工事が進められていた神戸空港のエプロン(駐機場)が3月20日に供用開始となる事が分かった。拡張エプロンは、既存のエプロンの西側に5スポット分を増設する形で整備が進められてきた。今後、主に国際線の発着に利用されるとみられる。
拡張エプロンの供用開始日である3月20日は新飛行経路の運用開始も予定されており、この日を境として神戸空港の運用は大きく変わることとなる。

国際線向けに5スポットを増設

神戸空港では、今年4月18日の国際化に備えて昨年よりエプロンの拡張工事が進められてきた。2月時点でエプロン自体の舗装や照明などの工事は2月時点で概ね完成しており、現在は構内道路等の整備が進められている。この拡張エプロンについて、3月20日に供用開始となる事が航空路誌の改定版公表により判明した。
拡張が進められていたのは既存のエプロンの西側部分で、計5スポットを増設。既存のエプロンの10スポットと合わせて、全体で計15スポットに増えることとなる。拡張された部分のエプロンは、主に国際線のハンドリングに利用され、国際線機材は主に11~15番スポットに駐機するとみられる。
ちなみに、拡張されたエプロンは、神戸空港の運営を行っている関西エアポート神戸の運営権範囲外にあたるため、新たに指定管理者制度を用いて第2ターミナルとともに同社が管理・運営を行う。




朝晩の駐機場不足にも対応か

神戸空港では、国内線の夜間駐機機材が多いため、朝晩時間帯のスポットはほぼ満杯の状況が続いている。その反面、昼間においては駐機場が満杯となる事はほぼ無く、国際化にはエプロン拡張が必ずしも必要であった訳ではない。
当サイトでも報じたが、4月18日から発着する国際チャーター便は当面週40便に制限して運用される。これは1日あたりに換算すると5~6往復便程度であり、発表された運航ダイヤでは同時間帯に発着する便は最大2便程度で、夜間駐機の予定も無い。そのため、実は既存のエプロンのみでも4月18日からの国際化には十分対応可能であったのだ。
ただ、前述の通り第2ターミナルを含む国際線施設は、関西エアポート神戸による運営権の範囲外である。そのため、国際線施設の運営責任や収支を明確に区別する意味で、今回の拡張工事は避けて通れなかったものと考えられる。また、拡張部分のエプロンについては国際線の運用に特化しているわけでなく、国内線の運用にも使用される。そのため、夜間駐機機材で溢れている国内線の増便対応という意味合いも大きいのだ。
今後は国際線の発着も徐々に拡大していくこととなる。国際線の朝晩時間帯の発着や夜間駐機が行われるようになると、駐機場が不足する可能性は大いにあり、今回のエプロン拡張は今後の運用拡大に備えるという点では大きな意味を持つ。

最終的には21スポットへ?

15スポットに拡充する神戸空港のエプロンであるが、今後は既存エプロンの東側も拡張し、最終的には21スポットまで拡張されることとなっている。だが、現時点では神戸市からエプロン東側の拡張工事に関する具体的なスケジュールは示されていない上、直近では西側のエプロンを更に北側へ拡張するイメージが示されるなど、神戸市の示す拡張イメージが二転三転している。
また、第2ターミナルについても着工直前で設計変更が加わり、将来的に2階部分を拡張してPBB(旅客搭乗橋)を整備できる設計へと改められた。これらを勘案すると、第2ターミナルと西側エプロンの更なる拡張によって、国際線のバスハンドリングを解消する事を最優先とし、東側エプロンの拡張は当面後回しにしている可能性が高い。(ちなみに、元々の計画通りに既存エプロンを東側に拡張する場合には、スカイマーク社の格納庫に接する駐機場や貨物ターミナルが存在するため、スカイマーク社との調整や貨物ターミナルの取り壊しが必要となる。そのため、東側のエプロン拡張工事には比較的時間がかかるとみられている。)
エプロン拡張イメージの変更や第2ターミナルの設計変更等、二転三転しツギハギだらけとなっている神戸空港の将来像。こうした背景には、関西エアポート神戸が本来示さなければならないメインターミナルの整備計画が未だ明らかとなっていないという事情がある。神戸空港の国際化にあたって、航空会社20社ほどが就航に名乗りを上げていた事が明らかとなった今、国際線の受け入れ基盤の拡充は急務である。国際チャーター便の更なる増便や国際定期便の就航にいつでも対応できるよう、メインターミナルの整備計画を含めた空港全体の将来像を早期に策定しなければならない。


